ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

頂いた画像を解説


今回は珍しく画像をいくつか見ていただきましょう。



さくら成形


こちらは、ピンク色が鮮やかなさくら餡を包んだあんパンの成形ですね。

なかなか綺麗に成形されていて、切り口の断面を見ても、しっかりと肉厚の生地に餡が包まれている事が確認できます。


さくら成功


すると、このようにとても綺麗に焼き上がりますね。

ところが実際には、こうなってしまうことが多いと言う人もいるのではないでしょうか?


さくら失敗


艶出しが塗られていないので、艶が無いのは仕方が無いとしても、中身のさくら餡が外に飛び出しそうになっていますよね。
その結果、生地が餡に押されて薄くなり、まるで裂けるように悲鳴を上げているのが解ります。

結果、色付きも悪くなり、菓子パンの生地で作ったとは思えないような色合いになってしまっています。

ではなぜこうなってしまうのでしょう。

さくら餡に限らず、すべての包みもの、包餡ものでの成形にありがちなことなのですが、餡を包む際に、餡が生地の中央に綺麗に包まれていない場合にこうなってしまうのです。

つまり、餡を取り巻く生地の厚さが、片寄っているとこうなってしまうのですね。

この画像では特に、上部の生地が薄くなっているので、肉厚の下生地に餡が上部へと押されて、尚更上部の生地が薄くなってしまい、餡が切り口からはみ出してしまうのです。

とはいえ、包餡の際に中央へ上手く餡を包むというのは、意外と難しい技術ではあります。

特に、餡が柔らかいと包む時に上部が薄くなりがちです。

餡が硬くても、柔らかい時とは違う意味で生地を突き破ってしまう事がある為、どちらかと言えば柔らかい餡の方が生地には優しく、突き破りにくいとは思います。

ただ、このあたりの技術は文面ではお伝えできませんので、イメージとして掴んでいただくしかありません。

全般的にソフトに包むイメージで行ってみてください。

また、今回のようにこれだけ切り口を開けてしまうと、さらに中身がはみ出しやすくなりますので、できれば切り口は付けない成形で包み方に馴れ、このように切り込みを入れたい場合は、硬めの餡を使用するとはみ出しづらくなります。

最初のうちは、餡の重量よりも生地の重量の方を多くしておいた方が、包みものは上手くいくでしょう。


では次です。


しわっとなった食


焼き上がってしばらくすると、このようにシワシワな感じになるのはどうしてかとのご質問でした。

ごく一般的な配合の食パンですので、確かに見てくれ的には今一かもしれませんが、ソフト感という意味で言えば、耳まで柔らかい食パンと言う感じで、これはこれで捨てがたい気もしてしまいますが・・・(笑)

このパンは、家庭で作られたパンなのですが、焼成中オーブンの中に水を入れたココットが置かれたままの状態でした。

つまり、たくさんの蒸気により長時間蒸し焼きされた状態であった・・・・という事になるのです。

そうなると、パンは焼けながらも常に水分を吸収してしまいますので、焼き上がって時間が経過するごとに、クラムから外に向かって水分が蒸発しはじめ、その水分によってクラスト、つまり耳がしんなりしてくるのです。

このように完成されたパンと言うのは、通常よりも日持ちがしますし、しっとり感も長持ちします。

質問者様の意図とは違うかもしれませんが、別な意味では特殊な技法によるソフト焼成とでも言えるのではないでしょうか。

リーンな配合のハードな食パンでは、耳が硬過ぎて口内を切ってしまう・・・・というようなお年寄りの方などの場合は、このようにしてたくさんの蒸気を出しながら焼く事で、耳の柔らかい食パンを作る事が出来るということも、憶えておいていただきたいと思います。


では次です。


メロンしぼみ


紅茶の葉を配合したメロンパンの中に、クリームを包んで焼き上げた商品です。

残念ながら、見事に潰れてしまっていますね。

これもパン屋さんでは良く見かける光景ですが、中身が入らないメロンパンであれば、なかなか潰れる事は実際には少ないと思います。

中身が入ると、どうしても生地の踏ん張りがきかずに、メロン生地の重さに耐えられずに沈んでしまうという傾向があるようです。

これも、餡パンの時と同様に、中身の具を綺麗に中央に包めれば良いのですが、どうしても上部の生地が薄くなりがちになります。

そうでなくても、メロンパンと言うのは、生地が伸びようとする力と、メロン生地が伸びようとする力に若干のズレが生じてしまうものなのです。

どう言う事かと言いますと、水分の多いパン生地と、油脂が多いメロンのクッキー生地とでは、火の通り方も焼け方も違うということなのです。

その二つの焼け方の違う生地に、さらに水分の多いクリームが入る事で、尚更お互いが焼けていくプロセスが複雑になり、結果としてはクリームの水分が焼成後に蒸発することで、上部の生地が湿っていき、メロン生地の重さにより徐々に潰れてしまうということになる訳です。

このように、メロンパンに具材を包む場合は、全般的にわかめの生地のまま焼成することで、生地の骨格がしっかりとしますので、潰れにくくはなります。

つまり、ホイロを早めに切り上げて、あまり膨らんでいない状態で焼くと言う事ですね。

ホイロで大きくなりすぎた生地では、まず頑丈な骨格の形成は難しいので、クリームの水分には耐えられないと言う事はありますが、クリームの水分の少ないものを選ぶ、あるいは硬めのものを選ぶ、あるいは量を減らす、あるいは生地量を増やしてみる、あるいはメロン生地量を減らしてみる・・・・などの対策が必要でしょう。


では次です。


マフィン焼成不足


イングリッシュマフィンですが、美味しそうに焼かれているように見えますが、上部が潰れてきてしまうというのがおなやみのようなのです。

画像では少し判断しずらいのですが、恐らく時間が経過するともう少し潰れて来るかもしれません。

家庭でのマフィン作りでは、セルクルという枠を使用して、そこに蓋をして焼く場合と、この画像のように膨らんだ生地に直接もう一枚天板を乗せて焼く場合とがあると思います。

あまり経験が無い方からすれば、生地の上に天板を直接乗せれば、潰れるのは当然だろうと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではないのです。

もちろん、一つの生地に対して大き過ぎる天板を乗せれば潰れてしまいますが、そうではなくて、いつくかの生地を間隔を均等にして並べて、その上に天板を置く事により、適度に平たくなった状態で、しかも綺麗に丸く焼き色が付いてくれるのです。

この焼き方は、パン屋さんでは良く見る光景なのですが、家庭ではあまり一般的ではないかもしれません。

今回の画像でパンの上部が潰れてしまいがちなのは、単純に焼成不足が原因であろうと思われます。

もし、この生地が発酵オーバーで焼かれた物であるならば、画像に見られるようなサイドの裂け目はできません。

この裂け目は、むしろ発酵が不十分な状態、まだホイロの若い状態で焼いた事を意味していますので、焼く前の生地状態は良かったと推測できます。

あとは、焼成時間が短すぎたか、あるいは温度が高過ぎて早く焼くのを止めてしまったか、またはこれが意外と重要なのですが、途中で一度オーブンの蓋を開けて、天板を動かして焼き加減を確認するなどの行為を行ったか、それらが考えられます。

パンの焼成全般に言える事ですが、焼成途中に外気をオーブンの中に入れると言う行為は、オーブンの性能が特別に良いか、あるいは大型の業務用オーブンである場合を除いては、パンに対するダメージは計り知れないということです。

特に家庭用の小型オーブンでは、いかに焼成中に開けないかがとても重要となります。

もちろん、専門的にはある場面においては開けた方が良いというようなこともない訳ではありませんが、ごく一般的なパン作りの場面においては、けしてオーブンの蓋は焼成中は開けないということが、成功のカギであるということを憶えておいていただきたいと思います。

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