分割・成形は とても重要です
分割・成形について
この部分は、パン作りの根幹ともいえる部分であり、パンの良否はここで
ほぼ決定してしまいます。
しかしながら、レシピとして伝える事が非常に難しく、どのレシピでもあまり
触れられていない部分なだけに、たいがいはここで失敗することになります。
パン生地は無数の風船の集合体です。生地の取り扱いに熟練していれば、
風船はパンが焼き上がるまでそのまま残りますが、成形段階でパン生地を
傷めてしまうと風船がかなりの割合で割れてしまい、ふくらみの悪いパンが
出来てしまう事になります。
では、どうすれば風船の割れを防ぐ事ができるのでしょう?
ポイント1 パン生地は決して乾燥させてはいけません。
パン生地はすぐに乾燥します。
特に冬場などは3分もすれば表面が乾いてきます。
パン生地が乾燥すると発酵中に生地が割れて裂け目が出来、パンのしっとり
感が一挙に奪われてしまいます。
成形時は生地をタッパーなどに入れ、一つずつ取り出して成形するなどの
配慮が必要です。
また、パンを作る室内を乾燥させないように冬場はお湯を沸かすなど、
適度な湿度を保つ事が大切です。
パン生地が乾燥したら霧吹きなどで表面に水を吹きかければ大丈夫などという
レシピもありますがとんでもありません。
もし乾燥してしまったら、ビニール袋の中に入れるかラップで包み、
自らの水分で表面がしっとりしてくるのを待って下さい。
少しの時間でしっとり感が戻りますので、すぐ成形を行って下さい。
ポイント2 手粉の使いすぎに注意しましょう。
特に最初の頃は手粉を多く使ってしまいがちです。せっかくしっとりしてい
るパン生地の表面を、粉をつけて乾燥させてしまっては台無しです。
出来るだけ粉は使用しないか少なくするべきです。
べとついている場合でも、少し時間をおけば表面が乾いてきますので、
そこで成形して下さい。
どの段階でもパン生地に余分に小麦粉が付着していると、焼き上がったパン
の表面に艶がなく、まだら模様になります。
ポイント3 ベンチタイムの重要性について
パン生地はとてもコシの強い物体です。対照的なのが“ねんど”で、誰でも
一度は触った経験があるでしょう。
ねんどは指で押しても穴が開くだけで決して元にはもどりませんよね。
しかしパン生地は違います。
押しても引いても必ず元に戻ろうとします。
好みの形に成型する為に一生懸命叩いたり伸ばしたりしますが、
なかなか言う事を聞かない為何度も何度も生地をいじめてしまい、
結果たくさんの風船が割れてしまうのです。
ベンチタイムとは休憩時間という意味で、パン生地は一度衝撃を与えると
その度に休息が必要なわがままな性質をもっています。
生地を適度な大きさに切り分け〈分割〉た後、20分程度ベンチタイムを
取り成形に入るわけですが、この時のチャンスは一度きりなのです。
なるべく短時間で、しかも生地をあまり傷めることなく成形を終えればOK
ですが、もし複雑な成形の場合はもう一度休憩が必要となってしまいます。
その目安はとても解かりづらいので、なるべく簡単な成形方法を選ぶ事が
パンの完成度を高めてくれます。
では、いったいどの程度の時間ベンチタイムをとるのが理想かというと、
それは配合や生地の温度や硬さなどですべて違いますし、またそれが解か
るようになることがパン作りの最重要ポイントとなるのです。
どんな生地でも約15分もすればゆるんできますので、分割後15分から
30分の間に成形するのが一般的です。
コツとして分割時に生地をあまり締め過ぎると回復に時間がかかりますので、
軽く丸める程度で終えることです。
また、ベンチタイム中も発酵は行われていますので、あまり長く取りすぎた
り成形に時間がかかりすぎてもアウトです。
成形をスムーズに終える為のキーワードは
”優しくスピーディーに表面を張る”
あとはあなたの ”感性” 次第かな・・・・・・