ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

ミキシング時間の適正を掴むには・・・・・

こんな質問をいただきました。

・・・・今更ながらですがどうしてもミキシングについて納得していない部分があるのです。

こちらのブログで見た記事の中に生地がベトベトしているのは捏ね過ぎだというような内容の生地があり、それを見てからこれは自分の生地もそうだと思うようになり、初めは吸水が多いからだと思っていたのですが、その後に減らしてみても結局ベタベタとした生地になりましたのでこれは捏ね過ぎなのかとやはり考えています。

当方食パンが5種類あるのですが、そのミキシングは全てL2M5H3油脂入れL4M3H2 となっています。

ミキサーは愛工舎のマイティー60を使っています。仕込み量は2kg~5kgですが、ミキシング時間はほとんど同じにしていますがそれも間違っていますでしょうか気になる所です。

ミキシング時間に関しては講習会などに行った時に聞いた話では問題ないと言われましたがやはり気になり質問させて頂こうと考えました・・・・・・


ミキシングに関しては、ご使用の小麦粉や配合の違いなどにより、確かに多少の時間差は生まれるとは思います。

しかし、今回ご質問の件に関しましては、明らかに捏ね過ぎである事だけは言えると思います。

実は、この捏ね過ぎというのは、私自身も講習会などに参加した際には、その主催者のミキシングは捏ね過ぎだろうと思う事が何度もありました。

完成した生地は終始ベタベタとしていて、とてもツヤツヤと光っていました。

主催者によって、あるいは使用する小麦粉や配合によって、実に多くのミキシング時間の違いと言うものがある事は事実です。

ですので、あくまで好みの問題でもあろうかと思いますが、それでは答えになっていないと思われますので、私なりの解釈でお話ししておこうと思います。

ミキシング時間と言うものを考える場合、小麦粉の特性や副材料の量などを考慮する事はもちろんなのですが、それにもまして重要となるのが仕込み量なのです。

どの位の量の生地を、どのミキサーボールで捏ねるのか?・・・・・・

その事がとても重要になるのです。

質問者様のお店の場合、ミキサーボールが60リットル用一つしか無いという事でした。

通常30リットルと兼用になっているのですが、何故かないようなのです。

この事は意外と他にも多い事例で、最近お邪魔したお店でもそうでしたし、今までに何度もそのようなお店に伺いました。

ということは、2kgの生地を捏ねる場合でもこのミキサーボールで捏ねる事になる訳です。

60リットルのボールを使って、適度なミキシングを得られる量を考えますと、恐らくは最低でも3kg以上の量は必要でしょうし、それ以下の量を捏ねる場合には、それなりの工夫が必要になると思うのです。

つまり、長く捏ねるか早く捏ねるかと言うような事になります。

大きなボールの中で、少ない生地が回っている事を想像してみてください。

どんなに早く回しても、ほとんど空中をさまよっている部分が多く、周りに叩きつけられていると言いますか、はたかれていると言いますか、適度な摩擦というのは得難い状態であると言えます。

そんな事もあり、恐らくはHといういわゆる3速を使っているのだと思うのです。

しかしこれが、例えば6kg捏ねるとなった時でも同じミキシング時間であるとすれば、間違いなく捏ね過ぎ以上となってしまうでしょう。

ご質問にあるミキシング時間の合計は19分になります。

この合計時間は、わりと行っている方も多いかと思われます。

特に食パンなどのキメを細かくしたいパンの場合は、この程度捏ねる方が多い事でしょう。

しかし、ごく一般的な柔らかさと配合であれば、3速という高速回転を使う事はまずありません。

というよりも、むしろ使うとオーバーミキシングになってしまうでしょう。

60リットルという大きなミキサーボールを使って高速回転を使用する必要があるとすれば、それは仕込み量が3kg以下の場合か、あるいは相当柔らかい生地と言う事になると思います。

だとしても、これほどの高速での時間は必要ないと思われますが・・・・・

実際に最近伺ったお店では、ミキシング時間のトータルが20分を超えている生地が大半でした。

捏ね上げられた生地はべロ~ンと伸び、ピカピカ輝いていました。

分割をしていても成形をしていても、やはり完全にはベタベタは解消されません。

このような生地で出来たパンと言うのは、ホイロ後に潰れてしまう事が多く、具をのせれば重みで沈み、クープを入れれば切ったそばからしぼんでいきます。

焼成後にはしぼんでしまった後のシワが残り、弾力のない食感になります。

全般的にミキシング時間を短縮し、極力3速は使用しない方向にした所、ミキサーから生地を取りだす際の感触、分割の際の感触、成形の際の感触がまったく違うと驚かれていました。

これも個人の見解ではありますが、捏ね上げ後の生地が艶々したらアウトだと私は思っています。

その後の発酵時間も、分割時も成形時も、それらすべてがミキシングにつながる行為であることから、ホイロに入るまでの全工程の合計でミキシングは完成するものと考えるからです。

するとそれだけで、あきらかに生地のボリューム感は増し、手触りがまったく違ってきます。

解り易く言えば、分割時に手粉が必要な生地というのは、油脂の入る生地においてはあまり考えられません。

もちろん製法や配合などによって違いはある事と思いますが、通常は手粉を必要とはしません。

これは、手粉を使ってはいけないという意味なのではなく、ほど良く捏ねられた生地と言うのは、常に表面に薄い膜が張られているような状態になっています。

そしてその膜が強く破れにくいほど、分割や成形にも耐え、内層を常にガードしてくれるのです。

適度に捏ねられた生地の薄い外皮は、外気によって常に適度に乾燥していて、その乾燥状態が作業台や手に生地の内部がくっつかないようにしてくれているのです。

その生地状態というのは、まるで赤ちゃんの肌のような肌ざわりになります。

お近くに赤ちゃんがいるようでしたら、是非触れさせてもらって、その肌の感触を良く覚えておいて下さい。

食パン・ロールパン・菓子パン・フランスパン・ドーナツなど、いずれの生地も赤ちゃんのような感触になっているかどうかが重要であると私は考えます。

捏ね過ぎる位がキメ細かさを生む・・・・というのは間違いではありません。

しかし、キメ細かさが美味しさであるかどうかというのは、少し考え方を変えた方が良いのではないでしょうか?

と言う事で、ここで何分捏ねるべきである・・・・・というような事には具体的には書けませんが、以下の事を考慮してお考えいただければ、おのずと答えが出るのではないかと思います。

1、その高速回転は本当に必要ですか??

2、生地がテロ~ンとなっていて、第一発酵で横に流れていきませんか??

3、低速と中速と高速では、時間が同じでも捏ねられ方はまったく違うことを認識しましょう。

4、赤ちゃんのような肌ざわりになっていますか??


あれ??と思う事があれば、少し控えてみる事をお勧めしておきたいと思います。

1 Comments

ちびまま says...""
食パンや菓子パン、吸水74%程度で行っているとどうしても打ち粉が必要になってしまうのですがそれもオーバーミキシングだからでしょうか?
少しミキシングと吸水を控えたところ山食の山がこんもりとならずこれはミキシングが不足しているからなのかな~なんて心配になってしまったのですが・・・きっとそのほどよいミキシングの加減って何度も失敗しながら感覚で覚えていくしかないのですね・・・もっと勉強してみます
2015.02.04 16:08 | URL | #- [edit]

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