ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

これからのパン屋が目指すべきは???

いよいよ物件が決まり、本格的にパン屋始動となりそうです。

100%冷凍生地であった商品群を、手作りに変更してきた毎日でしたが、ただ単に手作りにすれば儲かる、または手作りにすれば更にお客様には喜ばれるはずだ・・・・と言う訳ではありませんでしたね正直。

それはそうですよね、今までの商品にお客様が付いている訳ですから、その点を考えずにただただ新しいものを出しても、今までの方が良かったと言われる事もある訳です。

こだわれば、手作りすれば無敵だ・・・・ではないんだという事を改めて感じた数ヵ月でしたね。

お客様からすれば、そのパンがどのような経緯で作られているものなのかは知る由もなく、あるのは双方の信頼関係のみですし、今まで順調に売上を維持出来ていたのも、ある意味冷凍生地の品質の安定と、製造する側の誠意、そして販売を通じて築き上げてきたお客様との信頼関係のたまものである訳です。

他県からわざわざ買いに来て下さるお客様もいる事実を、はじめは不思議な気持ちでとらえておりましたが、どうやらそのあたりに、人気店になる為の本当の意味合いがあるような気がしてならないのです。

パンの本当の美味しさとはいったい何なのか・・・・

なにをしてそのお店に買いに行きたいと思うものなのか・・・・

お客様の心理をひも解くカギは、お客様の目線の先にあるもので、作り手のこだわり目線の先なのではないなと言う事を、ここのところ大いに感じています。

パン屋と言っても、それは商売なのであり経営なのでもあり、儲けが無ければ存続は出来ません。

しかるに、効率とか原価率とか工程管理とかを重視して考えなければならないものである事は確かであるし、ただ単に売上が上がればそれで良しというわけではなく、利益を上げなければならない職種なのです。

そうしなければ、新しい設備も買えませんし、社員の福利厚生も良くする事が出来ないからです。

・・・・と言うように、どうしても初めから安定経営を中心とした考え方で、全てを組み立てるクセのようなものが付いていた気がします。

少なくとも、その時点ではお客様が何を求めているか・・・・・ではなく、何をどう作れば利益が上がり、来店客数も伸びるはずだという視点で考えていたのではないかと思うのです。

作りたいもの、作ればきっと売れるという自信がある商品があったとしても、その作業性や工程を考えた時、躊躇してしまう事が多かった気がするのです。

そう考えると、結果としては正しい事であったかもしれませんが、もしかしたら本来やれることが出来ないで来てしまったのではないか、そんな出し惜しみみたいな商品構成で本当にお客様を満足させて来られていたのであろうか、そう思ったりするのです。

私は企業系のパン屋上がりであり、その後もほぼ企業系のベーカリーで仕事をしてきました。

上を見れば成果・利益率という大目標があり、下を見ればスタッフをいかに苦しめないで一日を終える事が出来るか、その為の製法を考えなければならない。

企業ですから、必要な設備は何でも手に入りました。

ただし、その都度売上目標は上がっていきますよね。

効率を考えて機械を導入すれば、一見工程は楽になりますが、所詮人にお金をかけるのか、機械にお金をかけるのかの、いたちの追いかけっこのような状況であった事はいなめないとおもいます。

そしてこの場合、当然お客様の要望する商品構成を考慮しながら、工程を組み商品群を決定していく訳ですが、この時点まではどう考えてもお客様は下において考えています。

つまり、利益を上げるために必要な効率の良い商品を、どうしたら買ってもらえるかという発想です。

その為に売り方を考えたり、フェアーを組んだり・・・・・

それを商品の提案だ・・・・などと言っていたような気もします。

しかし、違う角度からよ~く考えてみると、それは単なる押し売り戦略なのではないかとも思えるのです。

なぜこのパンが売れないのだろう????  売り方が間違っているのではないか????

確かに美味しいパンなのに、どうして売れないんだろう????

そのようにして、どうすれば売れるかと言う事ばかりに目が言ってしまう・・・・

売れないのは、単純に買いたい気持ちにならないからであり、それ以外の理由はないはずなのです。

陳列場所を変えただけで売れていく商品があります。

デザインを変えただけで売れていく商品もあります。

これらはけして売れない商品の部類ではありませんし、少しの工夫が必要なだけであると言えると思います。

しかし、どこに置いても売れない、明らかに他のパンと比べて人気が無い、そんなパンがあったとすれば、それは単純に買いたい気持ちにならないパンになりますよね。

そしてそのようなパンと言うのは、別のお店や別の地域では売れる事もあったりします。

実に不思議ですが、その事実を素直に認めて新しい商品考案のヒントにする、その柔軟性がこれからのパン屋には必要なのではないかと思うのです。

そんなの誰でもやっていると思いたくもなりますが、私の経験上、パン職人にはプライドの高い人が多いものです。

かくいう私も、そんは屁のようなプライドのかたまりだと思っています。

そんなプライドが見え隠れする商品開発というのは、これが本当のパンである・・・・とか、これが正当な製法で作られた本物である・・・・とか、どうしても自分の技量を披露したくなるものです。

どこぞの国の伝統的なパンであると言って、自分が修業してきた末にようやく習得した技術を披露したくなるのは当たり前の事ですが、そのほとんどは食文化や生活習慣の違いによって撃沈してしまう事が多いものです。

よく、外国での生活が長い人が帰国した後、その国にあったパンに巡り合えないということを嘆いたりしますが、結局の所慣れ親しんだ物を欲しがるというのが自然の流れなのだと思うのです。

相反して、修業してきた国のパンを日本の食文化に合わせた形にして販売し、成功されている人がいます。

自分が習得してきた事と、お客様の要望を上手くコラボさせている見事な例だと思います。

どのようなパンを作れば、お客様の支持を得る事が出来るのだろう???

その答えを導き出せた人にだけ、人気店になるチャンスが巡ってくるような気がしています。

多くの不採算店を見て、多くの企業ベーカリーを見て、そして効率重視の工程管理を実践してきて、改めて今思う事があります。

それは、恐らく今まで通りの考え方では、これからのベーカリー経営は難しいだろうなと言う点です。

効率だ福利厚生だと考えるのも、お店を開けばある程度のお客様は来るであろうというのが一般常識の考え方でした。

しかしこれからは、圧倒的な違い、圧倒的な個性のあるお店でもない限りは、近くに競合店が出来た時点で終了となってしまうでしょう。

いつまでも自分たちだけが新規参入なのではなく、いずれ追いかけられる状況になることは自然の理です。

であるならば、圧倒的個性を打ち出せる商品構成で、不動の人気を得る以外に道はありません。

その為に実践していくべき商品構成の考え方を上げるとするならば、それは自店にしか無いオリジナル商品を揃えるという事です。

パン屋と言えば、食パンは無くてはならない、フランスパンは無くてはならない、クロワッサンは無くてはならない・・・・そんな思いがよぎります。

結果、たいして得意でもないものでも、品揃えする事になる。

初めのうちはその方が受けが良いという事もあり、そこそこの売上になるとは思いますが、売上が下がり傾向にあるお店ほど、どこにでもある商品構成になっている事が多いのです。

つまり、どこにでもある馴染の商品というのは、集客力はありますが、継続力であるリピーターにつながりにくいという事なのです。

あのパンイコールあのお店・・・・と言う事にはなりにくいのですね。

お馴染みの商品構成というのは、売る側も買う側もとても安心した気持になります。

がしかし、お店の選択肢が多過ぎて、リピーターとして来店してもらえる確率がグッと減ってしまうのです。

ですので、あのパンを買うならあのお店と思ってもらえるような品揃えをすることは、とても重要だと思うのです。

次に重要だと思う事は、感動を味わってもらえるかどうかという事です。

感動にも様々ありますよね。

感動するような接客であったり、感動するような店づくりであったり、陳列やデザインに感動するという事もあるでしょう。

感動は多い方が良いに決まっていますが、意外とコストもかかるものです。

そこで、他のカテゴリでも何度も書いてきた事ではありますが、鮮度に感動してもらえるかどうかを重要視したいと思うのです。

つまり、焼き立て出来たて揚げたての提供を、どこまで細かく実現できるかへの挑戦になります。

そもそも、パンの美味しさに差はつけづらいものであると私は思っています。

よほどの事でない限り、まずいパンに出会う事はまず出来ませんよね。

しかし逆に、アツアツのパンにかぶりつく事というのも、なかなか体験できないものだと思いませんか?

かと言って、あつあつの食パンにかぶりつくという事ではありませんよ。

出来たてが格別に美味しいパンがありますよね。

ピザパン・カレーパン・焼き込み調理パン・タルティーヌ・フォカッチャ・クロワッサン・ケーキドーナツ・スコーン・バーガー・ドックパン・野菜サンド・焼きそばパンなどなど、あげたらキリがありません。

ただでさえも美味しいパンを、出来たてと言う最高鮮度で食べてもらえる事で得る感動というのは、焼き立てパン屋ならではの特許のはずなのです。

しかし現実には焼き冷ましで、ビニールに入っているパンが棚に並んでいる事が多いのが実情ではないでしょうか。

その時点で、最高鮮度という感動を逃してしまっている、つまり焼き立てパン屋最大の利点を使えずにいるという事になるのです。

そうなってしまう理由は様々でしょう。

誰しもが焼き立てを提供したいとは思っているはずです。

しかし出来ない・・・・・

その事に真っ向から挑戦してみたいと思っています。

それが実現できているお店は、間違いなく繁盛しています。

どうすれば実現する事が出来るのか、どのように工程を組めば焼き回数を増やせるのか、それを考えぬき、更に実践する事が出来た時、これからのパン屋像が見えて来るような気がしています。

皆様に良い報告が出来るよう、無い知恵を絞って考えて参ります。

オープンは8月になると思いますが、こんな私と一緒に働きたい、修業したいという物好きがいらっしゃいましたら、是非メールを頂きたいと思います。

勤務地は山口県ですが、詳細はメールにてご確認くださいませ。

こちらには単身向けのアパートがたくさんあります。

海と山に囲まれた環境の良い所ですが、温泉があまりありません(ー_ー)!!

このように求人関係の内容を掲載すると、いたずらメールも多く入ります。

真剣にお考えの方は、何度か内容を変えてメールいただくと助かります。

ちなみに年齢性別経験は一切問いません。

必要なのは本気のやる気だけです。

と言う私が一番疑わしかったりして(~_~;)

4 Comments

Gaz says...""
以前よりこちらのブログには大変お世話になっております。
まだまだパン職人として駆け出しの自分にはとても参考になる話ばかりです。

パンの鮮度、というのは自分でもすごく重要なことだと感じていました。
最近のパン屋さんは内装が小洒落た、雑貨屋さんや喫茶店のような雰囲気のお店が多いように思うのですが肝心のパンは見た目はよくても値段が高いし小さい、ロスを恐れているのか数が少なすぎて陳列棚がスカスカになっているし焼き立てのパンの香りも何もしません。もちろん客も自分以外いません。
でもそういう店がネットでは評判だったりします。
しかし以前に訪れたパン屋さんでは次々と焼き立てのパンが店に並ぶのでお店に入った瞬間に匂いで うわっとなりました。さらに陳列棚はパンでいっぱいで店員の焼き立てのアナウンス、レジに並ぶお客さんですごく活気の良さを感じました。
そのお店は駅前でイートインもあり、広さもあるので小規模な個人経営のお店では同じようには出来ないかもしれませんがそれに近い状態に持っていけるのが大切なのかなと思っています。

この度はお店を出店されるということで、おめでとうございます。
色々準備等で多忙だと思いますが、お店作りの様子も記事にして頂けたら大いに参考になりますのでよろしくお願いします。
2015.06.06 09:58 | URL | #bxvF113M [edit]
しずかな朝 says..."Gazさん、コメントありがとうございます"
お若いのでしょうね、きっと(*^_^*)

どうか目標を持って、毎日を大切にして頂きたいと思います。

お店は私のお店ではありませんので、あまり細かくはご紹介できないのですよ。

ただ、新しく試みる手法や製法などは、良い結果が出ましたらご紹介したいと思っています。

お互い頑張って参りましょう・・・・と言いたいところですが、夏季は頭が休業してしまうので、秋になるまでは本腰がはいらないかも・・・・(ー_ー)!!
2015.06.06 16:56 | URL | #- [edit]
sonomi says..."販売について"
時々拝見させて頂いております。

オープンは8月ですか?
インターネット販売などされますか?
2015.06.29 18:22 | URL | #sdI7WoCo [edit]
しずかな朝 says..."sonomiさん、コメントありがとうございます。"
残念ながら、このサイトでは特定の店名を出してのご紹介はしていないのです。

知らずのうちに、すでに食べていた・・・・なんて事もあるかもしれませんよ(^_-)-☆
2015.07.01 09:39 | URL | #- [edit]

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