ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

生地玉冷蔵法

この製法で作るパンは、とても風味が良く、ソフトに仕上がります。

中種法ほどではありませんが、しっとり感が長持ちするお奨めの製法です。

また、基本的に本日仕込んで明日に成形しますので、発酵時間は冷蔵庫の中で行われ、通常の作業時間内に終わらせる事が出来るという利点があります。

しかも、効果は中種並みです。

では作り方を見ていきましょう。

基本的にはどのような配合でも出来ますが、ハード系は慣れてから始めた方がよいでしょう。

と言うのは、発酵工程中の管理状態によっては、どうしてもアルコール臭が出たりしてしまう為で、
酒臭いフランスパンでは、いささかまずいので・・・・と言う事になります。

とりあえずはハード系以外の配合で、安定したパンが出来るようになるまで頑張ってください。

配合中のイーストなどは、増やしたりする必要はありませんが、改良剤を冷蔵に向いている物を使用する事をお奨めします。

ちなみに私がいつも使用しているのは、日仏商事のBBJです。

その他、オリエンタルにも冷蔵用のフードがあったと思いますが・・・・

冷凍生地用だと、冷蔵発酵中に発酵過多になり、うまくいきません。

もし、冷蔵用改良剤が見つからなかった場合は、冷凍用改良剤を現在の五分の一の量添加して下さい。

生地の水分ですが、冷蔵中にやや生地が柔らかくなりますので、いつもより少し控えめにして下さい

ミキシングは、しっかりと行います。

生地の捏ね上げ温度は、通常より約2℃低めに設定してください。

発酵時間は、通常通り取ります。

イーストが3%のパンなら、26℃の捏ね上げで50分の発酵時間となります。

イーストは、食パンなどの糖分6%前後の配合で3%・ロールパンなどの糖分10%前後の配合で4%・菓子パンなどの糖分20%前後で5%が目安です。

いずれの場合も、改良剤の量は同じで、0.1%です。

つまり、仕込みに関しては、ストレート法のいつもの配合で、やや生地を硬くして、しっかりとミキシングするということになります。

分割重量ですが、生地が良く冷えて安定する50gに統一するのがお奨めです。

例えば食パンがひとつ200gだとしたら、50gの生地を4個合わせて200gの生地を作ります。

冷蔵中は、生地の分割重量をなるべく揃える事が大切です。

そして、成形する際に、必要なだけ生地を合体させて、好みの重量にするわけです。

仕込みを本日中に行い、既定の発酵時間をとった後、50g程度に分割した生地を、天板にビニールを敷いた上に乗せ、十分間隔を開けて並べます。

六取り天板一枚に、50gの生地なら40個までです。

それぞれの間隔を均一にしてください。

さらに、生地を並べた天板ごと、大きいビニールでスッポリと包み、空気が入らぬようにして冷蔵庫へいれます。

冷蔵庫の温度は通常よりやや低めの2℃がお奨めです。

分割した生地は、天板でも番重でも構いません。

番重の場合は、中敷きビニールはいりません。 その代わりに、番重の場合は生地が冷えにくい為
一度蓋をしないで冷蔵し、生地の表面がやや乾燥して冷えてきてから蓋をします。

目安は30分から一時間程度でしょう。

そして一晩じっくり冷蔵発酵させます・・・・・・・・

そして次の日、いよいよ成形ですが、実はここからが冷蔵生地の難しいところなのです。

まず、冷たい生地をそのまま成形したのでは、まったく釜伸びのない最悪のパンになります。

では、どうするかというと、生地をホイロに入れて、生地の中心温度を16℃以上20℃以下にしてから成形を行うのです。

こうすることで、ソフトで風味の良いパンが完成します。

ホイロに入れないで、室温で温度を上げる場合、室温がかなり高くないと非常に時間がかかります。

あまり16℃までに時間をかけすぎると、イーストの発酵力が失われ、これまた釜伸びしません。

冷蔵温度帯から、出来るだけ早く生地温度を上げることが、最大のポイントとなります。

大きいホイロや、大きい冷蔵庫がないパン屋さんでは、少量の生地しか冷蔵できません。

こればかりは、設備に頼るところが多いのですが、通常の作業時間で中種のような風味のパンを作るわけですから、それなりの設備が必要なのは仕方の無い事実です。

ちなみに、お解かりの事と思いますが、冷蔵庫から出した生地をホイロに入れると言う事は、温度差がかなりあると言う事です。

生地の表面が濡れやすくなりますので、加湿は控えめにしてくださいね。

冷蔵発酵を天板で行った場合は、ビニールをかぶせたままホイロへ入れれば、生地が濡れる事がありません。

番重にて冷蔵発酵させた場合は、蓋を取ってホイロに入れる為、どうしても加湿を抑える必要があります。

今回は少し難しい製法でしたか・・・・・・・・

しかし、もし設備がそこそこあって、他店との差別化を図りたいとお考えなら、是非一度チャレンジしてほしいと思いますよ。

一つの生地に対して、仕込みは一回ですみますが、それを何回かに分けてホイロへいれて成形する事が出来ますので、焼き立てを何回も提供する事が出来るのも、この製法の利点です。

驚くほど美味しいパンが出来ますよ~ ヨロシク

9 Comments

すみだはつし says..."成形済み冷蔵法"
勉強させてもらっております。

生地玉冷蔵は、当方でも有用な手段で、労働時間の短縮に、製造工程の効率化、ひいては品質アップ(時間に余裕ができるため)にも役立っております。

うちでは成形済み冷蔵もやっているのですが、世間ではどの程度採り入れられているのでしょうか? また、なにか注意点はありましすか。
2011.11.27 18:29 | URL | #nZQDCzGs [edit]
しずかな朝 says..."すみだ様、コメントありがとうございます。"
現在のベーカリー事情には意外と疎いので、正直わかりません(~_~;)

ただ、現在の主流は間違いなく冷凍生地でしょう。

パン生地一つに旨味を求めたりはしていませんよね。

ただひたすらに具材との相性を探しては、見た目を大事にした商品開発をしているように感じます。

冷蔵生地と言うのは、低温域でのゆっくり発酵によって単なる発酵に熟成をプラスさせる事が出来ると考えられています。

さらに前日に準備出来ると言う利点がある訳ですが、良い事ばかりではありません。

熟成による旨味よりもアルコール臭が目立ってしまう事があったり、パンのクラストが厚くなったり、焼き色が不安定になったり、良い部分もあれば悪い部分もある。

つまり、何事もこれだけやっていればベストと言う訳にはいかないと言う事でしょうか。

また、成形済み冷蔵をされているようですが、成形後の保存段階では製法と言う域ではないと思います。

成形後に冷凍するなら、冷凍障害を気にしなければなりませんし、冷蔵するならイーストの活動は行われている訳ですから、中途半端な酸味が出てしまわないように注意が必要でしょう。

成形までの時間をやや短縮した方が商品は安定すると思われます。

成形段階ではしっかりと生地を締めて余分なガスを抜くように心がけてください。

イースト量を多少増やすと、更に安定すると思われます。

ただし、あくまで製法ではなく手法(保存の為の)ですので、美味しさを求める事には無理があると思います。
2011.11.28 04:17 | URL | #- [edit]
まぐのりえ says..."冷蔵保存"
大変参考になりました。ありがとうございました。

週に2度、頼まれてパンを焼いています。
粉量600g(ニーダーの最大量なので)を560㏄のパウンド型8個を2度に分けてベーキングしています。ハードトースト、プルマン、バターロール生地に、ドライフルーツやナッツの練りこみ、or成型時に具を巻き込んだり等々です。比容積3~4内です。ライ麦パン(10~20%)では6個分にしています。
前日に生地を作り冷蔵庫へ、試行錯誤しながらの日々でした。

ミキシング後生地を、大型ビーカーに入れてメモリを確認して即冷蔵庫へ、翌日3倍になっているのを確認してから、分割・成型へ:翌日にならない前に、tdにもよるのでしょうが、数時間で3倍に達していることも。あわてて、分割して冷蔵庫へ…気になって眠ることが出来ませんでした。また、翌朝3倍に達しておらず、室温放置で3倍にしてから作業してベーキング:むざん、黒板消し状態どころか悪臭さえ…で、この方法は止めました。

tdを低めに、パンチなしの発酵60分、8分割・丸めで冷蔵庫へ、翌朝、28度前後のフロア30分、丸め直して30分ベンチそして成型…だいたいはこれでOKとしていましたが、時に膨らみが悪かったり、ベーキング前のカットでしぼんでしまったり…。

そして、ここへたどり着きました。今までの失敗は冷蔵庫後の時間が長すぎたと思いました。bbj配合し、通常通りパンチを入れて発酵し、8は止めて16分割にし(型に2個詰)丸めて冷蔵庫へ、翌朝は、なるべく生地の温度が均一になるよう、手でパンパンしてフロア15~20そして成形へ、ここ数ヵ月この方法で、安心してパンを作っています。

さらに、最近の冷凍・冷蔵生地のtdの生地の話も、とても参考になりました。
私の場合殆ど、翌日の焼成なので安心しました。2日前でもOKは、忙しい時などは心強いです。

この頼まれパンは2年ほど続いています。
それ以前は、ワインの好きな家族(自分中心)と友人のために、ハード系を焼いていましたが…頼まれるのはとにかくフンワリ柔らかほのかにスイートなパンです。
卵黄、トレハロース、水飴などを適時、配合しています。
時々、ハードトースト系も焼いていますが…

日々、???と思いながらのパン作りです。色々お聞きしたいことが山ほどあります。
整理して、お伺いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

2012.07.14 14:16 | URL | #j/rM5s1I [edit]
しずかな朝 says..."まぐのりえさん、こんにちは"
コメントありがとうございます。

何かの参考になったのなら幸いです。

いろいろチャレンジしている方らしい文面ですね。

大いに悩んで、更に高品質な物を完成させて下さい。
2012.07.14 16:48 | URL | #- [edit]
kana says..."冷蔵生地玉について"
はじめまして。パン屋さんを立ち上げたいと思い、ベーカリーアドバイザーさんのお部屋を見つけ、勉強させて頂いております。新参者にアドバイス頂けると有り難いです。宜しくお願い致します。生地を前日に仕込んで、一次発酵後に135グラムに分割し、フランス天板に24個乗せて、リターダーで2℃で保管し、翌朝ドーコンで復温し、成型、2次発酵、焼き、と考えております。現在はまだ機材がそろっていないので、試せていませんが、135グラムの生地玉では大きすぎますでしょうか?他にも問題点があれば、ご指導頂けますか?天板に平らに広げ、中央が膨らまないよう包丁でバツをするという記事も読ませていただきました。その場合ですと、フランス天板に生地は何グラム乗せて良いのでしょうか?
宜しくお願い致します。
2016.07.07 14:43 | URL | #KPRyFQWg [edit]
しずかな朝 says..."kanaさん、こんにちは"
冷蔵生地玉はそれで良いと思いますよ。

ドウコンで復温すると、場所によって温度が違い、復温状態の違いに悩むことが多々あります。

しかしそれはどのようなドウコンであるかによっても違いますので、一概には言えません。

フランス天板というのは、高さがありませんよね。

高さがない天板では、生地そのものを冷蔵するのには向いていません。

なぜなら、横に流れてしまうからですね。

通常出回っている高さのある(最低3センチ以上)6取り天板でないと難しいと思います。

そこに生地を何グラムのせるかは、配合にもよりますので、あまり入れ過ぎないほうが良いということだけ言っておきましょう。
2016.07.09 08:59 | URL | #- [edit]
kana says..."ありがとうございます"
大変勉強になりました。ありがとうございます。

現在まだ機材がそろっていないので、手ごねで、家庭用冷蔵庫と家庭用オーブンを使い日々試作をしております。復温は家庭用オーブンの発酵機能で30度に設定し、15分くらい入れて生地の温度を18℃まで戻し、成型→2次発酵→焼きを行っているのですが、冷蔵保存せずに焼成したパンと比較する、一回り小さく、表面がシワシワになってしまいます。
これは冷蔵保存の温度管理に問題があるのでしょうか?復温や過程に問題があるのでしょうか?
ご指導の程宜しくお願い致します。
2016.07.10 21:24 | URL | #KPRyFQWg [edit]
しずかな朝 says..."kanaさん、こんにちは"
このあたりは簡単な問題ではありませんね。

配合や工程が大きく関わってくるために、現時点で具体的にお応えできることはございません。

ただ、一般的にパンにシワが出来てしまうのは、要するに過剰に窯伸びしてしまった生地に対して、焼きが甘い、小麦粉の力が弱い、捏ねが足りていないからですので、ホイロを十分にとってから焼く、少し火を弱くして長く焼く、強い小麦粉を使う、生地はしっかり捏ねる(冷蔵生地の場合)ことが大切です。

冷蔵生地とストレート生地、又は中種生地では、生地の中に作られていく気泡の質がそれぞれ違います。

生地の骨格であるグルテンの強さも違います。

ですので、一番安定してふっくら膨らむのが中種、次がストレート、そして一番ボリュームが出にくい、あるいは品質が安定しづらいのが冷蔵生地であることは間違いありませんので、そのあたりを見越して配合を作らなければなりません。

その辺りのコツを今度記事で書きますね。
2016.07.11 08:50 | URL | #- [edit]
kana says...""
お忙しい中、ご丁寧に返信頂きありがとうございます。
なるほどです。難しいです。この製法で安定したパンを確立できれば良いですが、まだまだ試行錯誤が必要です。

朝6時に中種を仕込み冷蔵庫で12時間置き、夕方6時に本ごねし、生地を冷蔵保存し、翌朝分割〜焼成を繰り返すという行程を考えております。まだまだ問題点が山積みですが、しずかな朝さんにたくさん教えて頂き、とても勉強になりました。アドバイス頂きありがとうございます。
また新しい記事を心待ちにしております。
2016.07.11 22:15 | URL | #- [edit]

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