ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

パンの値段は安い方が嬉しい・・・・のは確かでしょうが

家庭でパンを作られている方というのは、そのパンが出来上がるまでにいったいいくらかかったのか??・・・なんてことを考えて作るものなのでしょうか?

それとも、たぶん買うよりは少しは安くなっているんじゃないかな????程度の認識でしょうか。

物の値段というのは、その業界を知らないとどうしてその価格になるのかが掴みづらいですよね。

売られているものの価格の中には、当然ながら原材料代はあるはずですし、それを作る為の設備や場所、そして作る人や売る人に支払う費用などが入っていますし、それらをを綜合しても、きちんと儲けが出るように価格を設定して販売するのが商売の基本になりますよね。

物の値段と言っても、お婆ちゃんがいつも持ってきてくれる野菜達とか、いつも買い物で買うような日常品ならば、概ねどの位の価格が妥当であろうかは判断のつく所でしょう。

実家の土地で長年住んでいる畑で採れた野菜には、原材料費などはさほどかかっているとは言えませんし、その野菜を育てているお婆ちゃんが年金生活なら、人件費と言うのもそうかかってはいないでしょう。

しかしそれがある程度の量の出荷となると、人手もかかりますし、売る為の費用というものも発生してくる事になります。

お婆ちゃんからもらう野菜は無料でも、スーパーで買う野菜には値段が付いてしまうというのは誰でもが解る事で、そのようにして商売と言うのは成り立っているのだと思いますよね。

その商品が作られて行く過程で、どの位の費用が総合的にかかっているのであろうかと言う事は、販売価格から概ね推測する事が出来る訳です。

そして、通常の物よりも明らかに高めの商品というのは、おそらく原材料に良いものを使っているに違いないとか、手間をかけているに違いないと私達は判断していると思うのです。

でも実際は、アレレ??と思うような価格設定に出くわす事があります。

まったく同じ会社が作った商品なのに、売っている場所によって価格がまったく違うと言う場合です。

食品で言うと、スーパーとコンビニではまったく価格が違いますよね。

最も違うと思うのはカップラーメンで、スーパーではコンビニのおよそ半額で売られている事が多いと思います。

まったく同じ会社の、まったく同じ商品なのに2倍も差があるのですが、その事に文句を言う人は誰もいません。

さらに近年では、大手スーパーにはプライベートブランドの商品が非常に増え、ほぼ内容の同じようなカップラーメンが、更に安く売られています。

プライベートブランドについては当然コンビニにもあり、そのシェアは益々増えていくと想像できます。

そのようにして、まったく同じような商品があからさまに違う価格で売られていても、誰も怒る人はいませんよね。

不思議だとは思いませんか???

なぜそんなに違うのに誰も文句を言わないのか・・・・

なぜ公正取引委員会が出てこないのか・・・・・

こっちで買えば160円の物が、少し歩いただけで80円で売っているのですから、本来ならば誰も160円の方では買わないはずだと思うのですが、実際はそうではありませんよね。

小さい頃に家族でレストランへ行った時、ジュースを注文したいとねだると、必ず帰りに買ってあげるからねと言われました。

それは、レストランだとジュースが高いからで、同じ物を自販機で買うと三分の一の値段で買えるからですよね。

特別裕福ではない家庭に育っていれば、誰でも経験している事ではないでしょうか。

それも今では、ファミレスでドリンクバーを飲む方が自販機よりも安いのですから、商売の考え方というものも時代と共に変わってくるのだなと改めて思いますよね。

ちなみに昔は冷蔵庫で冷やしてある飲み物は、冷やし代として5円高くなっていました。

スーパーマーケット自体がまだありませんでしたし、街のいわゆる商店で、全てをまかなっていたのですから、今の子供達に聞かせるとビックリですよね。

おっと、いらぬ昔話はさておき話を戻しますが、一つ一つの商品価格を見比べていくと、売られているお店によって全く違うと言う事に行き着く訳ですが、だからといってその単品価格だけを見てお店をい選んでいる訳ではありませんね。

より自分の好みの商品が他店よりも安く販売されていて、尚且つそれ以外の魅力である、例えば品揃えであったり、接客であったり、サービス全般であったり、オリジナリティーであったり、また別の観点から考えれば、歩いて行ける場所にあるとか、通勤経路にあるとか、駐車場に車が止めやすいとか、そのあたりの判断は人によって違うとは思いますが、要するにトータル的に見て気に入ったかどうかで利用するかどうかを決めているのではないかと思います。

時代と共に、物を買いに行く場所の選択肢は増えるばかりです。

ほんの少し車を走らせただけで、買えないものは何一つない位、物が溢れています。

更に言えば、車を走らせるまでもない、ネットでも何でも揃う時代です。

普通に割引セールとか、○○均一祭なんてことをやっている位では、目立たなくなってきている事は確かかもしれませんね。

買う側からすれば、溢れるほどの中から自由に選ぶ事が出来る訳ですから、お店はいくら増えてくれても大歓迎でしょうし、勝手に競って勝手に安くしてくれればくれるだけ、買う側にとっては有難いだけの話で・・・・ということで果たして本当に良い事なのでしょうか。

明らかにやり過ぎだろう・・・・みたいな事、周りで行われてはいませんか?

パン屋に限って言えば、100円均一みたいなお店が非常に増えてきました。

100円均一のお店と言えば、それこそ昔は100円で売れそうなものばかりを集めたようなお店の展開で、当時はまったく人気が出なかったのに対して、今ではとても100円では手に入らないようなものまで100円で手に入るという、画期的な商売の形態へと発展を遂げました。

パン屋の100円均一も、一昔前とは大分様変わりしてきていて、これがなぜ100円なの???というようなお店が増えてきました。

いつの時代でも、価格競争というのは無くならないものです。

同じようなものなら、安い方が良いに決まっているからで、そこにさらなる魅力が出てきたとしたら、それはもう同業者としては驚異以外の何ものでもありませんよね。

ず~~~っと以前からスーパーなどで行われてきていた、日替わりのパンの安売りとか、広告の品とか特売とかなどとは違って、エブリデイロープライスを焼き立てパン屋が始め出したのですから、安売り競争に関わりたくはない・・・・なんて言ってはいられない状況に追い込まれているお店もあるだろうとお察しいたします。

商品構成の中の何品かを安くすると言う事は今までも戦略として行ってきたと思います。

本日のサービス品や今週の目玉商品というように、戦略として一部を値下げしたりすることはどなたでも経験のある事でしょうし、だからと言って儲けがガクンと減ると言う訳ではありませんでした。

むしろそのような動きのある販売戦略によって、トータル売上が上がり・・・・と言うのが理想的な方策として用いられてきました。

ところが、何もかもを100円で販売されてしまうと、近年の100円均一ブームも手伝い、それはそれで買う側には相当なメリットとして映る事は間違いないでしょう。

買う側からすれば、回転すしやバイキングなどに行った時のように、出来る事なら元の取れる物を食べようとか、一番原価のかかっていそうなものを買おうというような、今までパン屋に無かったような楽しみ方が出来ると言うメリットもある事でしょう。

100円で出来そうなパンを買うのではなく、これが100円で良いの??と言うような商品をどれだけ揃えられるかによっては、かなりの販売戦略となるはずです。

が、しかしです。

現在、過去に類が無い位の原材料高騰に頭を悩ませているのがパン・菓子協会です。

いや、パンと菓子だけではないでしょう、全ての食品と言っても良い位、前代未聞の原料高騰に見舞われています。

それでもそのような大安売りを実行する企業と言うのは存在するのです。

この記事を読まれているあなたが、ホームベーキングかパン屋さんであるなら、とっくに材料の値段が最近非常に上がってしまった事実を知っている事でしょう。

乳製品に油脂に小麦粉に乾果実、おそらくは卵以外はすべてと言っても良い位、値上げラッシュが続いています。

そうでなくても、先に述べた単品の価格が買う場所によって大きく違うのと同様に、パンの原材料と言うのも買う場所によって、そして仕入れる量によって、さらには企業間の力関係によっても、大きく違いがあるのです。

ホームベーキングの方から、使用している材料の値段を聞くにつけ、毎回大変ビックリしています。

さらに、パン屋さんでも個人経営の方の場合は、企業やチェーン展開のパン屋さんとの価格の違いには大変驚かされます。

そりゃたくさん使ってもらえば安く出来ると言う理屈も解らないではありません。

しかし、その内容と言ったら、あまりの違いに腰が抜けます。

その様な所にも、価格格差とかパワーバランスが変に働いている現実を見ると、これはもう買う側が喜べばそれで良いという問題では済まされないのではないか、国民総懺悔への道をはやめているのではないかと思えてなりません。

私がいつも買い物に行く激安スーパーでは、プライベートブランドの食パンがいつでも税込68円で売られています。

その他のパンも全て激安ではありますが、果たしてこのような販売手法を、本当にお客様は望んでいるのでしょうか?

企業努力でその価格を実現しているのであろう事は解ります。

しかし業界人として、私にはそのパンが可哀そうに見えて仕方が無いのです。

私とて裕福ではない為に、激安スーパーを利用します。

しかし、先程も言いましたが、同メーカーの同じ商品が安いのであれば、品質に問題があるとは心配する必要さえないでしょう。

プライベートブランドというものも、相当量の生産が見込めない物は適用外のはずですので、もちろん品質にも問題はないのでしょう。

し・か・し、やはりどうしても心配になってしまいます。

何が心配なのかと言えば、その超低価格の実現の裏に、どこかで何か無理が生じてはいないだろうかと言う点です。

たまに激安なのでしたら、誰も心配はしませんよね。

それが毎日となると、どこかにその歪みが出はしないのかと心配になるのです。

ちょっとここで、その食パンの原価というものを少しだけ分析してみましょう。

一斤68円のその食パンは、ごく通常の重さですから、生地重量はごく一般的なものと推測しましょう。

ただし、配合は当然ながら必要最小限のものとして考えます。

小麦粉に砂糖に塩、そしてイーストと安~い油脂を少量と言う考え方で原価を割り出します。

安い油脂を使うと風味が悪くなりますから、通常はフレーバーを使う事になるのですが、フレーバーと言うのも実はかなり高額ですので、それはここでは考えない事にします。

小麦粉の価格はさて置き、イーストと砂糖と塩と油脂は、私の知る限り一番安い価格で計算した所、それらの合計は約10円になりました。

一斤あたりの生地重量は440グラムで計算しています。

油脂は特にピンキリですが、とにかく一番安いマーガリンと言う事で考えてみました。

通常パン屋さんで使われているであろう小麦粉の価格というものも、その銘柄や取引量などによって相当な違いがあると思いますが、今現在の私の知る限りの最安値ではkg当り128円です。

それをこの食パンの小麦使用料に換算すると、一斤あたり31円となりました。

この31円とそれ以外の副材料の原価10円を合わせて41円、それに袋代が一般なら5円程度かかると思いますが、そうなるとそれでもう46円になってしまいます。

ここで計算に使った原材料価格と言うのは、ホームベーキングの方からしたらあり得ない価格であると思います。

小麦粉などは特にそうでしょうが、この2倍は最低でもしているはずです。

しかし、通常小麦粉と言うのは業務用であっても一袋25キロ単位で出荷されます。

今回はその最安値で計算しましたが、プライベートブランドを展開できるほどの量を作るとなると、それはもう間違いなく大手工場になりますから、そうなると小麦粉は製粉会社から袋に入れずにトラックで直接工場へ納品される為に、価格はだいぶ安くはなると思います。

そして、同じような価格でもう少しランクの高い油脂も使えるでしょう。

ビニールだって1円未満で作れるかもしれません。

ホームベーキングの方からすれば、この販売価格の68円は、すでに手作りした場合の原材料費よりも安い価格となるはずです。

作る側が色々努力して超低価格の物が完成する・・・・・・

それによって買う側は超お得にその恩恵にあずかる事が出来る・・・・・

目出たし目出たし・・・・・・でしょうか本当に・・・・

実際には、私達の見知らぬ事に多くの補助金が動いています。

企業努力と言うものにはどうしても限界があります。

そのさらに上を行こうとすると、そこになぜか政治が介入してきたりします。

あり得ないようなサービスの裏では、しっかりと私達の税金が使われていたりしていて、そうだとすると結局はそれらの歪みは自分の身に帰ってきていると言う事になります。

お得だと思っていたら、別の名目で出費させれられている、そうでなければ世の中は回ってはいかないはずです。

ここの所の価格競争は度が過ぎている・・・・・そう感じてなりません。

しっかりと先だけは見ながらの戦略であって欲しいと思います。

4 Comments

ニモ says..."オリーブオイル"
しずかな朝さま

こんにちは。毎日暑いですね。
暑くても、モリモリ食べよう手づくりパン!!です。

油脂の記事をおさらいしましたが、やはり食パンにオリーブオイルを使うのはNGでしょうか。
まったく釜伸びしてくれません。
ピザやナンにしか入れられないですかね。。。

マーガリンやショートニングを常備しておけばよいのですが、バターを切らしているときに、料理に使うからいつもあるオリーブオイルやアマニ油を使えたらいいなと思いまして。

2015.08.16 20:15 | URL | #SVUff9GE [edit]
しずかな朝 says..."ニモさん、お久しぶりです(笑)"
マーガリン・ショートニングは日持ちしますので、まずは常備するのが一番です。

そして、液体の油はどうしてもダメなのでは無くて、難しくなるのです。

おっしゃるように窯伸びが悪くなります。

それは、液体は生地に馴染まずに最後まで残ってしまうからなのです。

残ってしまわないようにしっかりと馴染むまで充分生地を捏ねるしか方法はないのですが、その際に注意する事は初めに入れると言う事です。

つまり、全ての材料を一緒に入れて捏ね始めるのです。

そうすることで少しは伸びが良くなります。

コツとしては生地を少し硬めにしてみてください。

それから、マヨネーズありますよね。

あれってそもそも油とお酢と卵が上手く混ざりあった食品ですので、対粉で5%程度のマヨネーズに、同じく対粉で5%程度のオリーブオイルをホイッパで良く混ぜて、それを最初から入れて捏ねてみてください。

どちらもあまり多く配合すると難しくなりますが、対粉3%~5%位までならいつも通りで大丈夫だと思います。

ちなみに対粉とは粉100gに対して3~5gと言う意味になります。

マヨネーズ入りパンは意外と美味しいですよ。 是非お試しを!
2015.08.17 06:17 | URL | #- [edit]
ニモ says..."マヨネーズ‼"
しずかな朝さま

お忙しいところ、さっそくのお返事大変ありがとうございます‼
マヨネーズも油脂ですね‼盲点でした~
マヨネーズ、冷蔵庫にいつもあります(オーマイアマニ油(オイル)入りマヨネーズが(笑))。
ご教示いただきました配合と方法でさっそくつくってみますぅ~‼
2015.08.17 18:55 | URL | #SVUff9GE [edit]
みかやん says..."はじめまして!"
私は、パン好きな主婦でございます。好きが高じてパン作り習ったりしましたが、パン屋さんで働いたりしたことはありません。こちらを見つけて「おもしろいなぁ~」と、時々拝見させていただいています。←言い方が失礼かな?ごめんなさい

お店でおいしそうなパンをみるとニコニコしちゃいますが、今日のお話にあるような安売りパンをみると悲しいというか、原価や使ってる材料のことも心配しちゃうし、並んでるパンさんたちがかわいそうに感じたり、この価格で売るほうも買う方もどうなんだろう?この商売が成り立っていいのかな?とか考えていたので、とても興味深く読ませていただきました。
もちろん私はお金持ちではないので食費をいかに抑えるか苦労してるけど・・・すみません意味不明なコメント書き込みましたね。これからも楽しみに読ませていただきます!
2015.08.21 23:22 | URL | #- [edit]

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