ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

思わぬところに落とし穴が・・・・

実に久しぶりでした・・・・・・

あそこまで期待していたものと違う味のパンを食べたのは・・・・・

と言うより、吐き出してしまったのは・・・・

9月に入り、めっきりと秋めいてきた気がします。

7月のあの驚異的な暑さから想像するに、今年はいつまで暑い日が続くのであろうと心配していましたが、何の事はない涼しい日々が続いていますね。

人間温湿度計である私の経験からすると、むしろ非常に寒暖の差が激しい夏であったと思っています。

寒暖差だけではなく、雨も多かったですよね。

お陰でいつまで経っても野菜の価格が安定せず、さぞやサンドイッチを作られているお店にとっては悩みの種であったろうとお察しいたします。

そんな中、とあるこじんまりとしたお店でパンを買う事になったのですが、そのお店の可愛らしいたたずまいと、それに相反したパンの味との差は、この夏の寒暖差を大きく上回るほどの驚きなのでした。

小さな町の小さなパン屋さんで、売上規模としては日商6~8万円位かな・・・・・・といった品揃えなのですが、ちょこちょこと焼き立てや揚げたてを出す為の工夫が見られて、とてもアットホームな雰囲気の素敵なお店なのでした。

小さなお店にありがちだといつも思うのは、パンも全て小さめであると言う事と、食パンなどの大物パンが少ないと言う事です。

この品揃えは、ある意味では手間の割には売上が上がりにくく、その分焼き立てを出しやすいと言うメリットもありますよね。

大きめのパンが多いお店がある一方で、ここのパンは全て手の平にすっぽりと収まるほど小さくて可愛い物が多く、おのずと客層も想像がつく感じなのでした。

とは言え、個人的にはそのあたりにはあまり興味が無い私にとっては、唯一存在しているバゲットとカンパーニュとリュスティックを購入したのでした。

価格としては高めで、品質としては見た目はガッカリでしたが、工房のオーブンを見て仕方が無いかと思いました。

このあたりは職業病的見解でしかないのですが、それでも十分焼きこまれた美味しそうなパンでした。

そもそもこれらのパンで見た目も味も満足出来るお店の方が少ない気がするのは私だけでしょうか・・・・・

最近では、スーパーでも大手のフランスパンやカンパーニュの類が増えたような気がしています。

相変わらず大きくて安いので、つい味見のつもりで買ってしまう事があるのですが、どうしたらこんなに味けないパンになるのだろうと思い知らされることになるのでした。

まあ、だからこそ私達の出番があるわけですが、それにしてもひどいなぁ~・・・・と言うのが正直な気持ちです。

だからこそ、焼き立てパン屋さんのフランスパンだけは裏切って欲しくないと言う思いがあるのです・・・・・・・・が、必ずしもそうであるとは言えないようです。

三品のハード系パンを購入した訳ですが、そのどれもが完全にやられていたのです。

何にやられていたのかと言いますと、恐らくはカビでしょう。

特にライ麦が配合されているリュスティックに関しては、一口で吐き出しました。

実に久しぶりの衝撃ではあったのですが、過去に何度も経験してきた事でもありました。

そして何気にどこのお店でもありがちなのが、この現象なのです。

夏場のハード系パンの場合、何気にありがちなのが種や酵母の腐敗なのですが、実は最も危険なのは意外にも粉なのです。

回転が良く、一日に何十本ものパンを焼くようなお店ではまず心配ないと思うのですが、一日数本しか焼かないようなお店では、どうしても粉の消費量が少なく、その分古くなりがちなのが現実なのです。

夏と言うよりも梅雨の時期から夏にかけてが一番心配な時期なのですが、強烈な湿気と暑さが同時に来るこの季節は、粉の管理が非常に難しいのです。

とは言っても、特に気にしてはいないと言うのが粉の管理の実情かもしれません。

パンによって粉のブレンド方法を変えるというのがある意味トレンドのようになっていますが、その分多くの種類の小麦粉を揃える事になります。

そうなると、使い終えるまでにかなりの期間倉庫に置き去りになります。

そして特にライ麦粉や全粒タイプの小麦粉と言うのは、すぐに虫が湧いてしまうのです。

気持ちの悪い話で恐縮ですが、虫なら全粒粉の粒と見分けがつかずに食べてしまっているというのが現実だと思います。

問題は次のランクです。

暑さと湿気によってカビが出てしまうと、それがそのままパンの味を最悪の物にしてしまうのです。

小麦粉なら計量の時に気がつくと言う事もありますが、ライ麦粉や全粒粉の場合はまずカビは目には入りません。

また、カビと言うのは色が付いてからなら発見しやすくなりますが、問題は色が付く前の ”カビそうな状態” の時にはすでに粉としては最悪の状態にあるということなのです。

この段階で見分けるのは至難の業でしょうから、日頃から気にかけていないようなお店があるとしたら、知らずのうちに今回のように製品として販売してしまっていると言う事があるかもしれないのです。

小麦粉の管理と言うのは、実は仕入れて数日は間違いなく大丈夫であるとは言い難い部分があります。

と言うのは、問屋さんでどのように管理されていたか、あるいは配送されるトラックの管理状態などによっても小麦粉の品質は大きく変わるからです。

実際に、配達されたその日にカビを発見した事も過去に何度かありました。

例えばですが、粉が何段も積まれているような倉庫で、その場所が壁際だったりすると、下段にある粉はすぐにカビが出てしまいます。

また、配送するトラックの際下段にスノコなしで粉が置かれており、その上にも荷物が置かれた状態で一晩置かれていると言うような状況もたまに見かけます。

それが夏場の雨の夜であったらひとたまりもありません。

ですので、粉は何日なら大丈夫なのだということではなく、常にダマガ出来やすくなっていないか、袋が湿っていないか、置き場所の通気は十分かなどの気遣いが必要で、計量の際には香りを確認するようにして頂きたいのです。

また、全粒粉などの混ざり物がある粉の場合は、出来れば冷蔵庫で保存したほうが良いかもしれません。

ただし、臭いが移り易いですから、しっかりと密閉して保存して下さい。

パンの仕事をしている人ならば、少なからず経験しているであろう今回の件ですが、パンを買う立場にある方々からすれば、まさかの出来事でしょう。

私の場合は今回のパンは吐き出しましが、何となく変な味だけどそう言うパンなんだろうと思われて食べている方も実は多いと思うのです。

酸っぱいのは天然酵母だからだろう・・・・みたいのものだと思いますが、もしもそんなものを買わされていたのだとしたら、これほど腹立たしいものはありませんよね。

いったい保健所は何をしているんだと言いたくなりますが、別のカテゴリでも触れていますが、実際にはその辺はノーチェックと言わざるを得ません。

基本的に店舗検査は年2回ほどあるはずですが、それも地域によって違いますし、実際に工房に入り込んできて検査をするというのはほぼありません。

自分たちでチェックすべき項目が書かれている検査表のようなものを取りに来るだけみたいなところもあるのです。

また、実際には保健所の担当者が全てのお店には来ません。

代わりの人、つまり菓子組合の仲間がチェック表を回収しに来るだけで終了となるのが一般的ですので、要するに年間を通してノーチェックといえるパン工房もあるのです。

もちろん非常に厳しい地域もありますので誤解のないように・・・・・・

その様な現実を知ってしまうと、まずくても大手のパンを買いたくなってしまう私の気持ちもお解りいただけますよね。

パン屋さんだけではありませんよ。

実際にはホームベーキングだって起こりえる問題なのです。

ですので、レシピとか裏技とかばかりに気を使うのではなく、一番の基本でありパンの大元である小麦粉の管理には十分気を付けていただきたいと思います。

ちなみに、小麦粉は古くなろうがカビがはえようが、立派に美味しそうなパンに完成します。

だからこそ怖いのです。

計量の際、生地を舐めた際、そして焼成中に注意を払っていれば、いつもとは少し違う ”異臭” に気がつくはずです。

少しでも ”あれっ” と思ったら、小麦粉の香りと状態をチェックして下さい。

チェックするのは計量前の小麦粉だけではありませんよ。

いわゆる手粉として使っている小麦粉がカビている場合もありますし、フランスパンを置いている布に付着している粉、作業台の隅に残されている粉などもすぐにカビがくるものです。

疑わないと解らないほど、知らず知らずのうちにパンの香りを台無しにしてしまっている事が実際にはあるのです。

がしかし、最大の問題はこれらのカビてしまっているかもしれない粉で作ったパンであっても、食中毒になるようなことはないと言う点です。

少しお腹を壊す人がいるくらいかもしれません。

それだけに自己責任において品質管理をしっかり行わないと、それこそ他の食品でいくら安心安全なものを選んでいたとしても、大どんでん返しをくらうはめになってしまうでしょう。

他のカテゴリにも少し紹介しましたが、それをお店の人に指摘しても素直に認められたことはまずありません。

きまず~い雰囲気で終了となるのが関の山です。

ですので、作る人も食べる人も充分気にして欲しいのが ”香り” です。

香りが気になったら、食べるのはちょっと待った・・・・・の方が良さそうですよ。

1 Comments

いしむら says...""
具体的に
傷んでいる粉のパンの味と香り
傷んでいる材料の味と香り
教えてください
2015.09.08 16:52 | URL | #- [edit]

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