ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

思っている、とやるとでは大違いかも・・・・・

パン屋の衛生管理はどこまで行うべきなのか・・・・?

最終的には焼成という工程により、消毒がほぼ完了するパン製造の現場ではありますが、かと言ってこれはあまりにひどいという現場をよく目に致します。

相反して、これほどまでにやるべきなのか?? ここまでやる意味はあるのだろうか・・・・と言いたくなるほど徹底しているお店や会社もあります。

パンを買う側として考えた場合、それはやはり衛生的であればあるほど有り難いはずですよね。

お店側としても、出来ることならこのあたりまでは徹底したい的な思いはあると思うのですが、忙しさにかまけてついなあなあになっているのが現実なのではないでしょうか?

私の知る限りですが、衛生管理の実態というのはお店や会社の違いによって、一体どれほどの差があるものなのかを少し紹介しておきましょう。

まずは基本中の基本である服装と手洗いに関して・・・・・・

制服を着用しているお店は多いと思うのですが、キャップは実に様々ですよね。

全くかぶらないお店もあれば、コック帽のお店やキャップ、三角巾などのお店もある。

企業によっては帽子どころか髪の毛はすべてネットで隠し、かつマスク着用という徹底ぶりのところもあります。

さらには、別の工程や別の部屋に移動する際には、髪の毛を吹き飛ばす部屋を通らなければならないお店、というよりもこうなるとほぼ中堅以上の製造卸の会社だったりしますが、とにかく髪の毛一本たりとも許さないという徹底ぶりです。

白衣に付着した髪の毛を取るためのコロコロも定番ですよね。

会社も大きくなればなるほど、とくにこのようなセントラル工場的な役割を担う工場の場合には、髪の毛対策は特に重要視されています。

私自身も帽子すらかぶらないで何年も仕事をしたことがありますが、髪の毛の混入は恐らく相当あったはずです。

しかし当時のクレームとしては一年に2件程度でしたので、髪の毛くらいでギャーギャー言うのはおかしい、髪の毛を食ったくらいで死ぬわけでもあるまいし・・・・な~んて考えていたりもしました。

個人的な本音としては、それでもお客様との信頼関係が保てるのであれば別にキャップをかぶろうがかぶるまいが構わないとは思っています。

しかしそれは、店舗数が増えて会社が大きくなっていけばいくほど、おのずとそうは行かなくなってくるのが世の常でしょう。

一つのクレームが会社を倒産に追いやることもあるわけですから、リスク回避の観点からも頭髪チェックは最重要課題となって当然だと言えると思います。

先日テレビを見ていたところ、某洋菓子屋さんの工房で、毛むくじゃらの手でスポンジを混ぜているところがアップで映されていました。

スポンジでもパウンドでもシフォンでも、最後に粉を入れて混ぜ合わせる絶妙なタイミングが手ならではだというのは皆さんご存知だと思うのですが、腕の毛も抜けないわけではありませんから、やはり大手では素手では行いませんし、見た目にも非常に気持ち悪いと感じてしまいました。

時代とともに、とにかく除菌だ滅菌だ消毒だと騒がれてきていて、それに対抗して新たな菌が現れてきているのも現実ですが、何よりも菌を広めない、拡散させないということが重要なわけですから、製造の現場では頭髪の管理と手洗いの励行だけは確実におこなうべきなのかもしれません。

手洗いに関しても、よく歯医者さんに行くと歯磨きの仕方を教わったりすることになりますが、手も洗い方で随分と違うというのは気をつけなければならない部分だと思います。

磨き残しならぬ洗い残しはダメだということですよね。

きちんと石鹸で隅々まで洗い、爪の中と手首まで洗う、そしてアルコール消毒を行うというのが一般的だと思いますが、どの都度手洗いを行うのかはお店によってかなり違うようですね。

焼き立てパン屋さんであっても、手袋をして製造を行っているお店も増えてきました。

個人的にはピンと来ない部分もあるのですが、手というのは洗って表面が一時綺麗にはなりますが、皮脂などがやがて表面に出てきて、それが意外と汚いので手袋をするという話もよく聞きます。

そう言われればそうかも知れないとは思いながらも、だったら焼成後のパンを裸でパン棚に陳列するのはいかがなものなのだろうと考えてしまう自分がいます。

焼成前に手袋をしてマスクをして焼成しても、大手のような袋入りパンならいざ知らず、ホコリとお客様のツバもかけ放題の焼き立てパン陳列はそれでいいものなのかと思うのですが、皆様はいかがお考えでしょうか?

手袋をしても、型や天板に触れれば即座に真っ黒になりますし、だからといってその都度交換している姿は見かけません。

生地にダイレクトで触れ、オーブンミットで焼成パンの出し入れも同時に行わなければならない現場にとっては、もはや手袋の意味すら疑問に思える時もあるのですが、しないよりはマシということは確かに言えますね。

次に清掃に関してはどうでしょうか・・・・

麺台としてまな板を使っているパン屋さんは多いと思いますが、毎日洗って消毒をしていますでしょうか?

まな板というのは家庭では当然のごとくその都度洗うはずですよね。

肉や魚を切ったあとに、そのまま野菜を切るなどという人はまずいないでしょう。

パン屋の麺台では、生地と粉以外はダイレクトには触れない場合が多いとは思うのですが、隅っこや麺台の下が生地と粉だらけなんてことが多いのが実情ではないでしょうか。

リバースシートやモルダーも、何日分も?? いや、下手をしたら何年分も生地と粉が地層のようになって溜まりまくっているお店をよく見かけます。

モルダーなどは生地がダイレクトに触れ、更には巻き込まれて行く機械ですので、本来は粉や生地の付着は完全に取り除いておきたいものです。

カビた粉や生地が混入する機会が最も多いのがこれらの機器ですよね。

また、生地の保管に確実に使われているであろう番重ですが、中の生地や粉はさすがにとり省く人が多いのですが、意外と番重の底の部分はカビだらけのお店が多いのも残念です。

カビで蓋をされた生地を想像すると、これはやばいと思えるはずです。

カビは胞子が飛び散りますから、確実に降り注いていることになりますので、解ってはいるでしょうがすみやかに対処すべきでしょう。

モルダーや麺台付近が汚いお店にありがちなのが、ホイロとドウコンの汚さです。

ベタベタドロドロ&カビだらけで、扉のパッキンなどは黒く変色してしまっている場合が多々あります。

気がついてもホイロは掃除しやすいと思うのですが、ドウコンの場合は冷凍とホイロを繰り返している為に電源をきることがありません。

ですので、ホイロとしての役目が終わった時点で、冷凍に入る前に、つまり作業の途中で清掃を行わなければならないために、解っているのだけれどもなかなか実行できないというのが実情のようですね。

とは言え、どのみちやらなければならない清掃ですから、工程に組み込む習慣をつける以外には無いでしょう。

そのうちとか、暇な時にという考え方ではまず出来ないのが衛生管理なのですから。

清掃すべき場所や機材というのはとても多く、正直嫌になりますが、そこを乗り越えてこその信頼・信用だといえますので、どこかの段階でキッパリと踏ん切りをつけて、よ~しこれからは徹底するぞと心に決め、そしてルールを作っていく以外にないと思います。

さて、身だしなみや清掃に関してはおそらくは誰もが知って入る、又はしっかりと実行している部分であると思いますが、実は意外と無頓着に扱われているのが食材管理なのです。

フィリングやトッピングと言うのは、それはそれは多くの種類を使っているはずですが、それらの賞味期限や開封後の管理、そして保存温度の管理などは大丈夫であると言えますでしょうか。

タッパーのフチがカビている、ザルがカビだらけ、フィリングの絞り出し口がカピカピに乾燥している、フィリング保管場所に様々なこぼれ落ちたフィリングがくっついている、タッパーの蓋の内部に水滴が付いてヌルヌルしている、ナイフ・包丁・クープナイフに乾燥した生地がこびりついている、冷蔵庫内部の底や網棚が汚い、冷蔵庫に開封後しばらく未使用のファリングが入っている、いつ開封したものかが把握できていない食材がある・・・・・・・

ほとんどのフィリングを業者から購入している場合には、保存料のおかげでそこそこ事故は起きにくいでしょうが、自家製のものになると相当しびやに管理しないと、いらぬ菌が多く入った自家製フィリングとなり、まさに食中毒を引き起こす原因を拡散する事にもなりますし、営業そのものも危うくなってしまいます。

衛生管理というと掃除をきちんとやっていれば大丈夫だと思われがちですが、合わせて食材の管理も衛生的に行うことが重要です。

保存する入れ物を常に清潔に、保管場所の清掃・整理整頓、開封日と賞味期限のチェック、そして保管温度の管理は徹底したいものです。

一人で作業を行うお店は大丈夫かもしれませんが、ほとんどが複数人で作業を行うはずですから、やはり仕組みを作ってチェックしていきたいものです。

原材料の管理では、細菌に増える時間を与えない、細菌が増える温度で保管しない事が重要です。

細菌が発育してしまう三要素というのがあり、それは栄養と温度と水分になります。

この3つが揃うことで細菌はどんどん増えていってしまいますので、とにかく栄養となるような汚れやカスを取り除き、湿り気などの水分に注意しながら適温で保管することが大切となります。

誰でもが解っていること・・・・・ではあるものの、だからといってなかなか実行できないことが衛生管理でしょう。

もし今現在、一斉に焼きたてパン屋さんに保健所の監査が入ったとしたら、一体どれくらいの営業停止処分がくだることでしょう。

サンドイッチを製造しているところは尚更です。

それでも寿司やお弁当を作っている製造現場に比べれば相当甘い基準となるでしょう。

正直言いますと、冷凍生地専門の企業ベーカリーでは衛生管理は相当行き届いると思いますが、街の手作りパン屋さんで、更に個人営業のお店の衛生管理は実に残念であると言わざるを得ません。

今のパン業界では、異物の混入程度しかクローズアップされていませんが、もし焼きたてパン屋さんからサルモネラ菌やブドウ球菌、そしてO157などの食中毒が数件で起こり、それがメディアで取り上げられたら、将来的には裸でパンを販売するスタイルは恐らく禁止になり、かつ相当厳しい製造基準が設けられてしまうことでしょう。

パン屋さんの開業も今までのようには行かなくなると思います。

そんなことにならないためにも、美味しいパンを提供したいという思いと同じくらい、衛生面にも時間をかけないといけない、それが製造者の社会的責任なのかもしれませんね。

食品の安全確保という観点からすると、食品を取り扱う人が衛生的であることも大前提でしょう。

しかし、個人が毎日の暮らしの中で手を洗わずにいても、多少不衛生な生活をしていても、それはそれで構わないと思うのです。

要するに、普段の自分と、一度製造という仕事に入った時とのONとOFにしっかりとメリハリを持てるようにすることが大切なのだと思うのです。

その信用があるからこそ、お客様からお金をいただけるのだと決心し、後回しにしないこと・・・・・・

本当の安心・安全とはそういうことなのかもしれないと思う今日この頃なのでした。

1 Comments

石村 says..."不潔なベーカリー"
レジのまわりに裸のパン並べてるベーカリー
ありますがもう感覚が麻痺しているとしか
思いません
あんなもん買う人の気も知れません
わたしはベーカリーではふくろいりの商品しか
買いません
初めからふくろいりかも尋ねます
2015.12.07 01:34 | URL | #- [edit]

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://sizuasa.blog44.fc2.com/tb.php/455-b8a5bcbb
該当の記事は見つかりませんでした。