ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

パン屋さんの日常に潜む表皮のブツブツとは・・・・・

フィッシュアイとか梨肌とか言われている、いわゆるパンの表皮のブツブツをご存知でしょうか?

ちょっと画像にていくつかのブツブツを見ていきましょう。

まずはこちら・・・・・




小さめのプチパンのようですが、表面に白いブツブツができていますね。

しかも、非常に表皮が乾燥していることが見て取れます。

色付きも悪いですね(T_T)

チーズが入った、どちらかというとソフトフランスのようなパンなのですが、気にしない人には解らないことかもしれませんが、気にする人からすれば、なぜこうなってしまうのかが解らないまま仕方なく焼いているというお話をよく聞きます。

このような現象は、ホームベーキングの方からもよく画像を頂く事例ですので、解りやすく説明しておきましょう。

まず、どうしてこのように肌が荒れてしまうのか、色付きが悪くまだらになってしまうのかと言いますと、これは総じて冷凍障害によるものなのです。

パン生地を最終的に丸めた後、パン屋さんであればドウコンディショナーへ入れる、ご家庭であれば一度冷凍あるいは冷蔵庫に保存して、翌日新たに発酵させて焼成するというような方法が多く行われていることと思います。

その際に、何らかの原因によってこのような梨肌になってしまうのです。

その何らかの原因というのは、実は色々とあるのですが、画像別に簡単に説明しておきましょう。

まずこのチーズが入ったプチパンの場合は、明らかにベンチタイムの取り過ぎによる発酵過多が原因です。

ベンチタイムを置き過ぎると、イーストの発酵力が弱まってしまい、その後に冷凍されることで更に発酵力は低下してしまいます。

その状態のまま翌日まで冷凍されることで、その後にうまく発酵出来ずに表面が荒れ、さらに発酵過多によって糖分が奪われてしまっていますので、色付きまで悪くなってしまうのです。

そもそもあまり砂糖を配合しないパンの場合は、明らかに冷凍・あるいは冷蔵保存することが前提の場合、あまりベンチタイムを置かずにすみやかに成形を行うことがコツとなります。


次のパンを見てみましょう。

IMG_1698-2_convert_20160328025222.jpg


レーズンが入ったパンのようですが、見事に梨肌になってしまっていますね。

こうなると、見た目に悪いのは勿論のこと、クラストがガサガサとした触感になり、表面からは見えませんがクラムもキメの粗いパンになっているのです。

これも総合的にベンチタイムの置き過ぎが原因と考えられますが、逆にあまり発酵を取らずに整形した場合もこのようになる場合があります。

梨肌になってしまう原因というのは、絶対というものはなく、生地によって様々であったり、又は冷凍や冷蔵の温度や時間によっても出る時と出ない時があったりするものなので、ついつい見逃されてしまうことが多いかもしれませんが、確実に品質としては最悪のものになってしまいますので、生地別・温度別のそれぞれの対策を知っておくことはとても重要な事だと思います。

一般的に、食パンなどの大型のパンではまず見られないのがこの梨肌現象だと言えますが、それは何故かといいますと、食パンの場合にはほぼ、その日に捏ねてその日に焼き上げまでを行うからですね。

それに対して、小物のパンというのは朝一番に焼き上げたい物に関しては、ドウコンディショナーに入れるというのが一般的だと思われます。

ご家庭の場合は、一度に多めに捏ねておいて、一部は生地のまま冷凍保存するという方もおられることでしょう。

その際に、まさにこの梨肌現象が現れてしまうことになるのです。

ではどうすれば、このブツブツが出来ないようになるのでしょうか?

それは、

1 捏上温度をきちんと守る。

2 第一発酵中に生地が冷えないようにする。(乾燥にも注意)

3 分割丸めに時間をかけ過ぎないようにする。

4 ベンチタイムで生地が冷えないようにする。(乾燥にも注意)

5 ベンチタイムを短めにする。

6 ハリ・コシのある成形を行う。


ということがポイントとなるでしょう。

捏上温度が異常に低くなってしまい、終始ベターっとした感じの生地の場合には、間違いなく梨肌になります。

捏上温度が適正であっても、分割時間が過ぎてしまったり、分割時に異常に時間がかかってしまったり、部屋がとても寒かったり、乾燥してしまうような場合にも、梨肌になる可能性がぐっと拡大してしまうでしょう。

毎回確実に梨肌になってしまうというような場合には、今一度工程を見なおしてみることが大切です。

具体的には、イーストの量が多いのに第一発酵時間が長すぎるような場合、あるいはドウコンディショナーに入れるのが解っていながら、その割にはイースト量が少ない場合、または無添加を意識するあまり、改良剤などを入れずに冷凍する場合など、理にかなっていないことをしようとすると梨肌の原因になります。

次の画像を見てみましょう。


IMG_1699_convert_20160328025352.jpg


皆様おなじみの塩パンですね。

塩パンと言っても配合は皆同じではありませんから、一概にはいえませんが、このパンの場合はやはり冷凍障害による梨肌になりますね。

概ねセミハード的な配合の場合が多いのが塩パンですから、そもそも冷凍するということ事態に不向きであることは間違いありません。

それでも冷凍したいという場合には、どうしても改良剤等を加えるか、イースト量を多くするなどの対策をとらないと、ただ単に冷凍して・・・・というだけではこのようになってしまうことが多いのです。

生地を成形後に一旦冷凍するという場合には、イーストの量・改良剤の有無・砂糖と油脂の配合量などがどうしても重要となります。

このどれも該当していない場合には、冷凍障害に立ち向かうことは誠に困難であると言えるでしょう。

かと言って絶対に無理というわけではないのがパンの不思議なところではあるのですが、概ねそう言えると思われます。

また、今回の塩パンの場合には改良剤も使われており、イーストの量も多くしてあるということでしたので、この場合は単なるベンチタイムの置き過ぎが原因であると考えられます。

また、このような表皮のブツブツが出来やすい成形と出来にくい成形というものがあります。

同じ配合や同じ工程であっても、成形時にハリとかコシが入るものであれば、梨肌になる可能性を限りなく少なくすることが出来ます。

それには、編み込むとか巻き込むなどの成形が効果大で、編みパンやバターロールなどのような成形を行っておくと、梨肌にはなりにくくなります。

とは言え、それでも表面を粗してしまったり、ガス抜きがきちんと行われていないような場合にはその限りではありません。

細かいことのようですが、手粉の使い過ぎもまだらな焼色につながりますので、ハリ・コシのある成形と適度な手粉というのは重要なポイントとなります。

ハリとかコシというのは、言葉でどの程度伝わるかは解りませんが、他の表現を使うとするならば、例えばハリとコシのある成形をされた生地というのは、表面にナイフを入れるとスッと切れてパカっと開きますが、ハリとコシがないとナイフに生地がくっついてスッと入らず、しかも開かないでしょう。

子供のおしりと、高齢者のおしり・・・・という表現はまずいかな??

でもそんなイメージをもって行ってもらうだけでも、梨肌は大きく改善されるはずです。

パン作りにおいて、一旦冷凍あるいは冷蔵するという工程はどうしても必要となります。

その反面、このような現象が現れていても見て見ぬふりで普通に売られているようなお店はいかがなものでしょう。

そのあたりはパン職人として、しっかりと対応していきたいものですね。


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