ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

パン作りに必要なのは技術だけなのか・・・・・??

こんな質問を頂きました。

Q いつもいつも愚痴ばかり聞いていただいて本当に有難うございます(笑)

そんなに愚痴るなら辞めてしまえと本当は言いたいのではないですか(笑)

でも本当に心からパン作りが好きで好きで仕方がないのです、本当におかしいですよね私(笑)

今回の愚痴は最近勤め始めたパン屋での事なのですが、とても仕事が早くて私よりも20歳も若いチーフがいるのですが、この人がなんと毎日遅刻をしてくるのです。

私と同じくらいの年齢の男性がもう一人いるのですが、その方は仕事は確かに遅いのですが、とても真面目で誠実な方で、その方にいつも色々と教わりながらパン作りをしているのですが、チーフはいつも一番最後に出勤してきては、まだこれしか出来ていないのか??というような態度でその年配の方に当たり散らしています。

事あるごとに ”あいつは仕事が遅くて困る” とか ”足手まといだ” などと陰口を言いますが、その方は怒るでもなくいつもニコニコして対応されているので、素晴らしい人だなと感心したりしています。

チーフの仕事は確かに早いとは思うのですが、私のような素人上がりが言える立場ではないかもしれませんが、チーフの仕事はとても雑だと思うのです。

生地の丸めは乱雑ですし、二分割の大きさもかなり違いがあります。

今分割したばかりの生地を、ろくにベンチタイムも取らずにすぐに成形してしまいますし、とにかく急げ急げという感じで、私にはなぜこのような人がチーフをやっているのかがどうしても理解できないでおります。

過去に有名店を何件か渡り歩いてきた人らしいのですが、その横柄な態度で作られるパンが可哀想で仕方がありません。

私は今後どのようにそのチーフと接していけば良いと思いますか?

人間的な好き嫌いは別にして、やはり技術は見習わなければならないと思われますか・・・・・・・



A いつもいつもメール有難うございます。

ただ、笑いすぎですよ・・・(笑)

大変切実な問題ですよね、よ~く解ります。

技術は流石だと思えるところがあっても、人間的に最低なやつ・・・・・・いますね~~いっぱい!!

かくいう私もそう思われているかもしれませんけど(笑)

仕事は確かに早いかもしれないけど、どうしても付いて行きたいとは思えないような人、そんな人も確かにいますね。

そしてそういうことが許せる人と許せない人、気になる人と気にならない人、まさに人それぞれでしょう。

ただ、仕事ができて人間的にも尊敬できて・・・・・なんていう人がいる職場の方が少ないことは確かだと思いますよ。

ですので、そのような嫌な経験を忘れることなく、自分が教える立場になった暁には、どうか皆の尊敬を一新に集めることが出来るような人材になってほしいと切に願います。

時間に遅刻する人というのは、相手の気持を一番に考えられない寂しい人だと私は思います。

仕事に向かう姿勢の先に、お客様の満足の為に・・・・という考え方がある人は、常に時間の管理に神経を使っているといえます。

技術と言うのは、速さだけではありません。

その質も重要ですし、発想や協調性、指導力や問題意識などもとても重要な技術であると思います。

今はとても貴重な経験を積んでいる最中だと思いますよ。

ろくでもない奴と思えるような人との時間も、後になってみれば自分の宝になりますので、どうぞ楽しんで頂きたいと思います。


Q ホイロのタイミングについて質問があるのですが、私の職場では2名が交代制でオーブンを担当しておりますが、この二人のホイロのタイミングが見事なまでに違うのです。

一人はなんでもかんでも早めに焼いてしまうので、全体的にパンが小さくなりますし、焼色も濃い目になります。

もう一人はまだ焼かないのかよと言いたくなるほどいつまでもホイロに入れていて、パンが全体的にとても大きくなり、焼色が白めなのでソフトには見えます。

店長はオーブンはやらないのですが、この二人のどちらが良いのかを聞くと、それぞれで良いのではと言われてしまいます。

ただ、焦がしたりしなければ良いのではないかとも言っています。

私なりの判断では、ホイロが小さいパンは味はしっかりとあるような気がしますが、やはり固くなるのが早いような気がしますし、ホイロが出すぎたパンというのは、味がボケてしまっていて、空気を食べているような気がしています。

やがては私もオーブンを担当することになりそうなのですが、どちら派を目指していけば良いと思われますか。

ちなみに、温度は30~35℃以内ですし、湿度も65~70%で適正であるとは思っています。

細かく言えば生地によって違うとは思うのですが、これだけは注意すべきだというようなことがございましたら、どうかアドバイスいただけませんでしょうか・・・・・・



A ホイロのタイミングというのは、実はとても大切なポイントであると言えるのです。

このタイミングにより、台無しになってしまうパンもあれば、素晴らしく美味しくなるパンもあるのです。

ただ、細かくは質問者様の仰る通り生地や配合によって違いがありますので、ここでは細かいことに触れることは出来ませんが、ポイントだけ紹介しておきたいと思います。

まずは、やや早めにホイロを出して焼いたほうが良いと思われるパンにはどのようなものがあるでしょうか?

その代表的なパンといえば、フランスパンだと思います。

リーンな配合で具材の入っていないパンというのは、ホイロを出せば出すほど大きくなり、余計に火が入ってしまうことでクラムのパサツキも早まってしまいます。

クラストの色付きも悪くなり、せっかくの香りが台無しになります。

太ってしまったフランスパンはまずいと覚えておいて頂きたいと思います。

ただし、籠を使って発酵させるようなパン、例えばパン・ド・カンパーニュのようなパンの場合には、しっかりホイロを取らないとクープが避けてしまったり、クープの切れ目から生地が突起してしまったりする場合もありますので、それらのパンに関しては早めという考え方はかえってマイナスとなる場合があります。

また、ライ麦パンなども早めという考え方ではなく、適度な大きさと弾力を維持した状態で焼くという表現になろうかと思いますので、今回のフランスパンというのは、バタール・バゲット・パリジャン・ドゥリーブル・フィセルなどの細長い素焼きのパンのことであって、同じ素焼きでもブール等の丸いパンや、カイザーゼンメルやシャンピニオン・タバチェなどの小型のパンはむしろホイロはしっかりと取って高温短時間で焼成する方が綺麗に仕上がり、且つ美味しくなると言えると思います。

では、ややホイロをオーバー気味に出したほうが良いパンというのはどういうものがあるでしょうか?

それは、ソフトさを売りにしたいようなパン、しっとり感を出したいパンなどはホイロは長めに取ることが重要であると言えると思います。

焼きこみ調理パンも全般的にはホイロで大きくして、高温で短時間で焼成する方が、よりしっとりと、よりソフトに出来上がると言えるでしょう。

また、揚げ物であるドーナツも全般的にはホイロはしっかりと大きめに取ったほうが、綺麗にしっとりと仕上がると思います。

最後に、早すぎても遅すぎても行けないパンと言えるのがデニッシュ類ではないでしょうか。

ホイロが若いデニッシュというのは、層に火が通っておらずにネチョネチョとした食感になってしまいますし、逆にホイロを出し過ぎてしまうと、せっかくの油脂の層が生地に浸透してしまってサクッとした食感が失われてしまいます。

まさにホイロのタイミングによって全く違うパンになってしまうのがデニッシュでしょう。

質問者様の意見にあるように、ホイロの若いパンというのは味としては濃くなりますし、ホイロを出し過ぎたパンというのは味がボケていきます。

それは、パン生地というのはある意味いくらでも大きくなってしまうからであり、大きくなればなるほど中に入っている具材だけは増えるわけではありませんから、トータル的に空気を食べているような味気なさを感じてしまうのです。

ぶどうパンとかクルミパンとか胡麻パンとか、生地に穀物やフルーツが練りこまれているパンというのはどんなパン屋さんでも人気がありますよね。

これらのパンに関しては、味という点を強調したいのであればホイロは若めにするべきでしょうし、ソフトに仕上げたいと言うことであればややホイロは長めにするべきでしょうし、そのあたりはお店の、オーナーの目指すパンのスタイルがどこなのかにもよりますから、焼く人によってその辺りが変わってしまうというのは最悪の事態だといえますね。

お店なりの ”うちのパンはこう焼くのだ” というものをしっかりと持っておかないと、確実にお客様は離れていくと思いますよ。

それくらい大事なのがホイロのタイミングなのだとお考え頂きたいと思います。


Q ・・・・・・細かいことばかり気になる性格らしく、洗い物をするたびにイライラしてしまいますね(笑)

しかも絞り袋だけではなく、マヨネーズなどもまだ中身があるにも関わらず捨てられているのです。

これならあと三個絞れるのにな~なんて考えながら、物を大切に出来ない人にパンを作る資格があるのか・・・・なんて思ってしまいます。

ボールでフィリングなどを作りますが、その完成品をタッパーに移すときに、混ぜるときに使っていたホイッパーを使っていますので、クリームがたっぷりとボールに残ってしまっているのですが、それでもそのまま流しに捨てるようにして湯を張ってしまいます。

普通そこはゴムのヘラでしっかりと最後まで取るべきではありませんか???

仕込みに使うマーガリンも、包紙にベッタリと残った状態で捨てられていて、もう私はそんなことばかりが気になって仕方がないのです。

最後にもう一つだけ教えて欲しいことがあるのですが、焼きこみ調理パンにマヨネーズを絞りますよね。

あれって切り口が太いとマヨネーズの量が多すぎてしょっぱいですよね。

でもそのことを職人さんに言ったら、細いと焦げてしまうからこのくらいで良いのだと言うのですが、実際に私は買って食べてしょっぱくて仕方ないと思うのですが、私が間違っているのでしょうか・・・・・・


Aお怒りはごもっともです。

聞いているこちらの方が苛立ってくるくらいです。

これらの話は内情に詳しい人にしか理解できない話かもしれませんが、マヨネーズにとどまらずに、その他の具材でもトッピングされている量がバラバラなお店と言うのは意外と多いものです。

その他にも、これは膨らませ過ぎだなというようなブカブカなパンや、焼色の全く違うパンが平然と陳列されているパン屋さんをよく目にします。

基本、パンというものは全ての具材の量、生地の量、大きさ、焼色、それらを毎日数百個、数千個と焼きながらも、いかに統一した商品として提供できるか・・・・・ということと戦っているといえます。

確かにその部分がお店としては一番難しい部分であり、これこそが店格を左右すると言っても過言ではないでしょう。

誰が作っても、誰が焼いてもいつも同じ品質のパンが出来なければ、それはもうお店として確実に淘汰されていくことでしょう。

焼きたてパン屋を経営するにあたっては、自分と自分以外の複数のスタッフが必ず居るはずで、その全てのスタッフといかにその辺りの品質の安定について、情報が共有できているかがとても重要なキーワードであるはずなのです。

ましてや、原材料や副材料を粗末に扱うなどということは、まさに下衆の極みであり、ものづくりの現場にはあってはならないことであると言えます。

その辺りをきっちりと教育出来なければ、それは個人であれ企業であれ、長く続けることは不可能でしょう。

早くそのことに気がついて、食材や機材を大切にする心、お客様との信用を守りぬくことの重要さに目を向けられる日が来ることを願ってやみません。

これらの、 ”細かいことばかりが気になって・・・・” というご意見は、けして細かくなどはないのだ、それが実は核心なのだということに自信を持って毎日の業務にあたっていただきたいと思います。

たとえどのような処分が待っていようとも、辞めさせられてしまおうとも、声を大にして言うべきことは必ずあると私は思います。

自分が正しいと思ったら、そこは声を上げていきましょう。

あなたの勇気ある一言で、変わる何かがきっとあるはずですから・・・・・



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