ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

小規模ベーカリーさんからの質問

ご夫婦で営んでいる小さなパン屋さんからの質問です。

Q 生地を前日に分割してから冷凍天板に乗せて冷蔵庫(プラス2℃)で保存し、翌日成形から行っているのですが、生地の中央部分がとても膨らんでいて取り分けるのも大変なほどです。

入れすぎなのではとは思うのですが、設備があまりないものですから仕方がないということでそのまま行っており、やはり天板中央部分の膨らんでしまっている生地で作ったパンだけが生地切れを起こしたり、焼成時に色付きが悪かったりと不揃いになってしまっております。

やはりゆったりと入れるとか、他の製法に変えるなどの工夫が必要でしょうか。

全てを当日に行うには、あまりにも朝早くからスタートしなければならないために、どうしても前日からの生地玉冷蔵に頼っているのが実情です。


A 設備があれば勿論なんの問題もないかもしれませんが、何事にもお金がかかるわけですから、費用対効果で考えると、ちいさなパン屋さんで充実した設備というのはなかなか叶わない夢かもしれませんね。

ではどうするかということを考える前に、まずは何が一番大切なことかを考えてはいかがでしょうか。

お店にとって、オーナーにとって、お客さまにとって一番大切なこと・・・・・それは紛れも無く高品質の商品を提供すること・・・・ではないでしょうか。

だとするならば、まずは今のやり方では商品にばらつきが出てしまうという点を考えた場合、何をさておいても製法を見直す事が必要でしょう。

生地玉を冷蔵する場合、庫内が広い大きな冷蔵庫であれば、そもそもそんなに膨らんでしまうことはないはずです。

つまり、今お使いの冷蔵庫では生地玉の保管は辞めたほうが良さそうですね。

冷凍庫などが別にあるようでしたら、一度生地を冷凍庫で軽く凍らせてから冷蔵すれば、膨らんでくることは少なくなるかもしれませんし、そもそも捏上温度を低めに設定したり、イーストの量をやや減らしたり、フロアータイムを短めにしたりと、生地が完全に活発に発酵してくる前に冷蔵することでも、膨らみ過ぎを軽減することは出来なくはありません。

しかし、小さな冷蔵庫につめ込むように入れるしかないような状況であった場合には、どのみち膨らみ方は不安定になってきてしまいますので、生地玉の冷蔵は諦めたほうが良いと思います。

ということで、そのような小さな冷蔵庫でも比較的行い易い生地冷蔵の方法を紹介しましょう。

それは、生地玉、つまり分割丸めをした生地を冷蔵するのではなく、生地をそのまま冷蔵してしまう方法になります。

天板の大きさにもよりますが、天板にビニールを敷いてそこに生地を平たく伸ばして入れます。生地を捏ね上げて30分~40分位のあまり膨らみすぎていない状態で天板に生地を広げながら乗せ、どうしても中央に生地が集中して膨らみやすくなりますので、中央に生地が集まり過ぎないように包丁でバツ印に切れ目を入れながら、生地を四方へ伸ばして薄くします。

天板ごとビニールをかけて数時間冷蔵庫で保存していると、生地の表面が冷えてはいながらも膨らんでくるはずですから、その時点でしっかりと一度潰してガスを抜いておきます。

油脂の配合が多いパンほど膨らみ方は少ないでしょうから、高配合のパンほどこの冷蔵生地保存の方法は効果があると思います。

勿論食パンの生地でもフランスパンの生地でも大丈夫ですが、だからと言ってまた入れすぎてしまっては元も子もないですので、小物のパンを作る為の生地を優先するべきかと思います。

このようにして生地を保存しておくと、冷蔵発酵してしっとりとしたパンが完成します。

翌日はこのよく冷えた生地をすぐに分割丸めし、復温(生地の温度を16℃位まで上げること)してから成形を行います。

生地玉の時と比べると、当日に分割するわけですからその分の時間はかかりますが、不安定になることはまずありませんので、当日に仕込みから行うことを考えれば随分と楽にはなるはずですし、パンのしっとり感も生まれますのでお薦めの製法となります。

注意しなければならない点は、生地が膨らんできたら必ずしっかりと潰してガスを抜いて保存すること、保存には番重やタッパーなどのプラスチックではなく、よく冷える天板を使用することです。

ただし、復温は番重やタッパーでも大丈夫です。

砂糖や油脂が多い生地(菓子パン・スイートロール・ブリオッシュなど)なら、冷蔵庫で3日程度は保存が可能ですが、日にちが経過するほどアルコール臭が出てきますので、その頃合いは自分で試食しながら掴んで頂きたいと思います。

生地が残り少なくなってきたら、仕込みに加える事で更に風味も増しますので、無駄はなく安定したパンが焼けると思います。

一度試してみてはいかがでしょうか。


お一人で製造から販売までを行っているちいさなパン屋さんからの質問です。 

Q 一人で作っているために、どうしても生地の種類を増やすことが難しく、一つの生地から色々な混ぜ物をしているのですが、特に洋酒漬けレーズンやブルーベリーやクルミやアーモンドスライスなどを混ぜるときには、生地がベタベタになってしまい、レーズンは皆潰れた感じになりますし、クルミやアーモンドスライスはきちんと混ざらずに入っている場所と入っていない場所がはっきりと出てしまい困っております。

生地をこね上げたのと同時にそれぞれ切り分け、ボールの中でそれぞれを手で混ぜているのですが、途中からベタベタとしてくるのでその時点で止めてしまいます。

分割の際に具の多い部分と少ない部分をうまく合わせながら丸めたりと工夫してはいるのですが、パンの大きさがまちまちになり、具の量もパンによってだいぶ違っているようで、どうしたものかと悩んでおります。

混ぜ方のコツみたいなものがお有りでしたら、是非伝授していただけないものでしょうか。 



A 混ぜ物の上手な捏ね方というのは、実はとても多い質問なのですが、文面では伝えづらいのであまり紹介はしないできました。

しかし相当お困りのようですから、文面でも解る範囲でコツをお伝えしておきましょう。 

まず準備としては、それぞれの混ぜる具材を計量しておくことはすでにやられていますよね。

それと、混ぜた後に発酵を取る場所(番重やタッパーやボウル)も準備しておいてくださいね。

さて肝心の混ぜ方なのですが、生地を取り分けてそこに例えばレーズンを入れてむんずと掴みながら押し込んで混ぜていることと思いますが、残念ながらそれではレーズンが潰れてしまい、生地もベタベタになることは間違いないでしょう。

ではどうするのか・・・・ 考え方としては、折りたたんでいくとか、巻き込んでいくという考え方で行います。

では手順です。

まずは捏ね上がった生地を速やかにそれぞれの大きさに切り分けます。

この時生地を丸めたりまとめたりしてはいけません。

作業台の上、番重の中などになるべく薄く置いておきます。

薄くと言っても、捏ねてすぐの生地は腰がありますから、その段階ではそんなに薄く出来なくても問題はありません。

他の作業を行いながら5分から10分ほど放置しておくと、生地が緩んでいるはずですから、その時点で四方に薄く引っ張りながら広げていきます。

この時も叩いたり押したりしてはいけません。生地にコシを入れないように四方に引っぱり伸ばしていきます。

伸ばした生地の上にレーズンを速やかに広げて置き、腰を入れないように手前から奥に巻き込んでいきます。

ロールケーキのような状態ですね。

そこでそのロールケーキ状の生地を押しながら平たくしておきます。

体重をかけて生地を切らないように優しく押してください。

生地が乾かないようにビニールなどを掛けてさらに10分放置します。

10分後に生地が緩んでいるはずですから、今度はその生地を更に長く伸ばして広げながら薄くし、今度はしっかりと細かく巻き込んでいきます。

最後に何回か丸めるようにしながら満遍なく混ざっていることを確認した後、残りの発酵時間を取ります。

捏ねた後の緊張した生地に無理やり押しこむのではなく、時間を掛けて生地のコシを抜きながら巻き込み折りたたんでいくことで、生地切れを起こさずに、具材も潰すことなく混ぜていくことが出来るのです。

混ぜる際に作業台や番重に手粉をひいて行っても良いですが、あまり多いと焼色がマダラになりますので注意してください。

サラダ油などを使っても大丈夫でしょう。

生地は柔らかめに捏ねるようにした方が当然混ぜやすくなりますし、固めの生地でしたら、リラックスタイムは冷凍か冷蔵庫で行うとやりやすくなると思います。

冬場は混ぜ物の温度が低すぎないように注意してくださいね。


一人で製造を行い、卸専門で販売されている方からの質問です。

Q カンパーニュ生地の件で質問です。

本来なら、カンパーニュ生地の仕込みを2回やるのがベストなのですが、4種類の生地の仕込み(日によって違いますが、カンパーニュ+イギリス+菓子パン系+フランス、とかカンパーニュ+コーヒー生地+ぶどうの角食パン+フランスなどなど)で、時間的に一杯になってしまいます。

具体的には、4種類目の仕込が終わる頃には、他の生地の分割や成形等が始まってしまいます。
分割・成形や焼く時間分の差をつくるべく、仕込んで直ぐに半分を冷蔵しておく・・・ということは可能でしょうか?


A そうですよね、だいたい4種類目を仕込まれた後に初めに捏ねた生地の分割時間がやってくる・・・・・

一人での作業ではここが意外とキモですよね。

カンパーニュ生地ということはハード系ですから、冷蔵することでややボリュームが出なくなってしまったり、焼色に変化が出てしまったり、あるいは表皮が厚くなるなどの症状が出やすくはなります。

しかし、そこは経験で乗り切っていただければ冷蔵はとても便利だといえます。

一番安定するのは、恐らくは分割の後の生地を冷蔵することだと思われます。

通常は分割後はベンチタイムに入るわけですが、そこですぐに冷蔵庫用天板にビニールを敷いて、できるだけ生地と生地の間隔を開けながら置き、天板ごとすっぽりとビニールを掛けておけば数時間は冷蔵保存できるでしょう。

一時間程度の冷蔵保存なら、適度に冷えながらも発酵して膨らんでいるはずですから、そのまま成形にはいっても大丈夫だと思いますが、2時間~3時間と時間を置くようでしたら、一度は復温を行ってから成形することをお勧めします。

行わないとは思いますが、もし翌日まで冷蔵保存するというようなことになる場合は、イーストの量や改良剤などの量を増やす必要が出てくると思われますし、少しイメージの違ったパンになる可能性はあるでしょう。

しかし、それはそれでまた別の味と風味のパンになりますから、はっきりと商品を分ければいわゆる生地玉冷蔵カンパーニュ生地として使えることになります。

また、冷蔵庫があまり大きくない、冷蔵スペースに限りがある等の場合は、分割時に半分の大きさで丸めて冷蔵しておき、それを成形時に合わせて成形すると言うことも可能です。

冷蔵された生地というのは、当然ながら常温保存時よりも冷えているわけですから、その分ホイロに時間がかかります。

だからといって、ホイロの温度を上げたりすると温度差によって発酵が不安定になりますので、そこは時間がかかるのだということを認識した上で調整して頂きたいと思います。

ということで、1~3時間程度の冷蔵でしたら、現在の配合を変更することなく同じ商品として作ることは可能だと思います。

どうぞお試し下さいませ。

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://sizuasa.blog44.fc2.com/tb.php/468-774e100d
該当の記事は見つかりませんでした。