疲れ果てています・・・・・・
まもなく56歳になろうかとしていますが、体力は確実に落ちていますね~
もっと落ちているのが集中力でしょうか・・・・・
このあたりが今後伸びていくということはないはずですので、そんな自分を受け入れながら仕事をこなしていかなくてはいけないのですね。
えっ!! あの人もうそんな歳になってたんだ~ みたいに芸能人を見るとよくそんな思いがよぎったりしていましたが、自分自身も確実に時を重ねているのですよね!
益々一日一日を大切に生きていかなくてはならないな・・・・なんて感傷にひたったりして・・・・・
がしかし現実には、休む暇もないほどの作業の連続、16時間ノンストップの動きっぱなしなんてこともあるのが売れているパン屋さんの実情ではないでしょうか。
新しくベーカリー事業に参戦してくる企業は跡を絶ちませんね。
お陰で既存のベーカリー企業は、常に昨年対比を守るためにあの手この手を仕掛けざるを得ない。
そうは言っても、企業系ベーカリーが出来ることといえば技術力を活かして・・・・・という訳には行かず、お得意の大量仕入れ戦術による低価格路線に頼ることになるわけです。
結果、100円均一のパンがあちこちで出だし、最近では88円まで飛び出す始末。
きっと70円位まではやるだろうなと思います。
消費者としては嬉しい限りですよねきっと。
しかし、現実的には内情はどうなっているのでしょうか?
はたしてそのような安売りばかりを行っていて、健全経営が成り立つものなのでしょうか・・・・・・?
どこかにきっとひずみが生じて・・・・・そうは思いませんか?
これからパン屋で働こうとしている方から、よくどこで働くのが良いかのアドバイスを求められます。
ほぼすべてを経験してきた私が言えるのは、何に重きをおくかによって違う・・・・・ということです。
例えば、特に大手の企業ベーカリーに就職した場合、一番教育されるのはなにかといえば、それは残念ながら製造技術ではなく衛生です。
それと同等に、経営数値の必達を叩き込まれることになるでしょう。
つまり、ある程度数字には強くなりますが、独立を考えているような場合には役には立たないかもしれません。
なぜならば、技術ほど人それぞれなものはないからで、企業という大きな枠の中で必要なのは標準化、つまり誰が行っても同じようになるような仕組みが一番大切なのであって、飛び抜けた技術はかえって邪魔になる場合すらあるからです。
経営者としての感覚を身につけるには良いかもしれませんが、それはあくまで数値だけの問題で、実際に自分がお店を出した時には技術と技量が求められるわけですから、正直申し上げて独立を考えているような方にはお薦めはできません。
会社員として定年まで、パンと関わりながら仕事をするという環境としては、間違いなく雇用形態がしっかりとしていますので安心して働くことが出来るでしょう。
では、よく見かける街で人気のベーカリーへ就職した場合はどうでしょう。
この場合は、オーナーシェフが絶対の存在になりますから、そのオーナーの考え方や方針と合えば、技術も技量も磨くことが出来ることでしょう。
しかし勤務の実態自体はほぼ過酷を極めるでしょう。
サービス残業は当たり前で、仕事は家に持ち帰り、休みも不安定でしょう。
世間の組織とは異なり、オーナーの独裁国家みたいなものですから、当たり外れは相当あると考えるべきです。
世間の常識非常識・・・・・by猪木・・・・と言った感じでしょう。
朝から晩までパン作り・・・・・で、衛生や経営に関することはなかなか学ぶことは難しいかもしれません。
というよりも、ほぼ体力と精神力を理由にやめてしまう人のほうが多いと思います。
自分はその辺りは強いほうだ、なんとしても技術を習得したい・・・・という人には向いていると思いますが、12時間以上動きっぱなしなんて無理・・・という人にはまず無理でしょう。
両極端な場合ばかりを書きましたが、この中間に位置するようなパン屋さんもたくさんありますよね。
例えば2~3件程度のお店を経営されているお店であったり、もう少し大きくて地域に数十店舗ほど運営されているような中堅ベーカリーがあります。
これらの企業では、各お店で全てを作っている場合と、セントラル工場を持ち、一部配送品でまかなっているような場合もあるでしょう。
大手と、超有名店の中間的な位置づけになろうかと思いますし、学べることもちょうど中間的なものであると言えると思います。
頑張り方次第では、主任になったり工場長になったり店長になったりして、そうなれば経営的な事や、人事にかんしても必然的に学ぶことになろうかと思います。
もっと言うなら、経営戦略にまで参加できるくらいのポストまで行くことも実力次第ですから、やりがいという意味では一番お薦めなのがこのクラスの会社です。
ただし、例えば給与水準であったり、労務管理に関しては大手のような訳にはいかないですから、なかなかその部分では満足は得られないでしょう。
どんなパン屋さんでも一長一短はあるということでしょうから、自分が何を学びたいのかを明確にしておくことが大切であると思うのです。
話がやや戻りますが、今や製パンというのは機械化なしには語れない状況にあります。
個人店であっても、様々な機械を導入して人員不足を補いながら製造されていることと思いますし、大手では益々の自動化による冷凍生地の開発が急がれていることでしょう。
慢性的な人手不足はこれからもずっと続くと思われ、特にきつい仕事である製パンには足が向かないというのが世の流れであると思います。
そんな中でもパンの需要だけは伸び続けていますので、さらなる機械化へと進んでいくものと推測されています。
皆様がパン屋さんの内情をどこまでご存知かは解りませんが、ここ数十年でパン屋で働く人はほぼ女性へと変わってきました。
パティシエなどは女性だというイメージも有ると思いますが、今ではどこのパン屋さんも8割は女性です。
きつい・汚い工房では女性は働けませんので、今後益々衛生的で機械化された工房へと変わっていくと思いますし、冷凍生地や完成品冷凍などの仕入れをうまく組み込みながらの製パンになっていくと思われます。
女性オーナーのお店もどんどん増えていくと思いますし、女性目線の新しいパンの業態も増えていくことでしょう。
さらなる低価格路線を打ち出す大手企業ベーカリーと、このような女性先導の新しい業態や、相変わらす街で人気のベーカリーの二極化は更に加速し、その狭間で低価格に走るべきか、独自の路線を貫くかの選択を常に迫られる中堅ベーカリー・・・・
誠に慌ただしい業態へと変貌してしまったベーカリー事業・・・・・
感傷に浸っている暇など与えてはくれないようですね (T_T)