ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

変えないといけないのは、あなたの考え方・・・・・

企業も個人のお店も皆同じ・・・・

どのような人が担っているか・・・・・それに尽きると思うのです。

初めて工房に入り、数時間皆さんと一緒に作業をしていると、よくこのように言う方がいます。

「本当はそうやるんですね~  キチンと教わったことがないので・・・・」

「何でも知ってるんですね~ なんか今度こそ良いパンが出来そう・・・・」

「ようやく良いパンが作れそうで楽しみです~」

「今までは本当にひどかったですからね~」


恐らくは色々な方が訪れては教わり、そして責任者も何度も変わり、その都度やり方や方針が変更されることにある程度嫌気が差している現場。

また新しい人が来るらしいよ・・・・と話だけは聞いているものの、どうせ大したことはない、長く続きやしないということを今までの経験で悟ってしまっている様子。

「でも今度こそ良いパンが作れそうで嬉しいです・・・・」

「今までキチンとパンのことが解る人がいなかったので大変でした・・・・・」

こんな会話を数人のスタッフがしているこの現場では、とにかく商品の出来が悪く、品質の安定が重要テーマとなっているようでした。

大抵の場合は、この手の依頼はオーナーからきて、そして現場へ伺うというものなのですが、現場で好意的に待ち受けられているということは殆どありません。

オーナーは現場と商品に不満があるのですが、自分ではどうしようもない状況だと判断したからこそ依頼してくるわけで、すでに現場とオーナー間の信頼関係というものは成り立っていないのです。

そこに行くわけですから、どう考えても敵が来るような態度になるのは致し方ないことだとは思うのです。

オーナーはまた外部の人に丸投げかぁ~・・・という感じですね。

ただ、私は現場第一主義ですから、当然現場の改善はしますが、何よりも現場の不満は会社への不満なのですから、良いパンづくりを指導することも重要ですが、それ以上に組織改革が本来は最重要だと思うのです。

現場は、会社側の考え方に腹を立てている・・・・・

そして会社側は現場の働き方に不満や疑問をいだいており、何よりもそれは品質が悪く、売上低下の原因を招いているからであると考えているのです。

このような場合、大抵は会社側に現場とのコミュニケーションを取るためにミーティングを行ったり、会議などで意識統一を図るべきだと訴えるわけですが、結果としてはそれで依頼終了となります。

逆に、現場があまりにもひどく、それをほんの少し正そうとしただけで、ならば辞めますと言って集団退職されたこともあります。

結局このように、現場では常に ”いつでも辞めてやる” という雰囲気ができあがってしまっていることが多く、そのような会社は皆現場と会社側に深い溝があり、目標とか方針などが一切共有されておらず、何のために働いているのか、モチベーションが保てずにいることが多いようです。

個人のお店でも店主と従業員の間に溝がある・・・・なんてことも多々あるくらいですから、企業になると尚更なのかもしれませんよね。

さて、出来ることなら関わりたくないこの手の依頼ですが、そんな中、このようなスタッフを雇用してしまうと正に地獄だと言える状況を少しだけ紹介させて下さい。

上記で触れたように、一応今までの商品の品質がイマイチであることは現場スタッフも認識しており、今度こそ良いパンが作れそうで楽しみであるとまで言っていました。

会社側にいかなる不満があろうとも、だからといって自分たちが作るパンが粗悪で良いはずがない・・・・

まずはこのあたりから説明させて頂き、良いパンが作れなければパン職人としてそもそも使い物にならないわけで、それを他の不満と混合するべきではない、それにはまず自分たちのパン作りに取り組む姿勢を変えていかなければいけない・・・・という話をすると、皆一応に納得はするのでした。

しかしです。

そこのスタッフはかなりの個性派揃いなのでした。

ミキサー担当者は、ミキサーから溢れんばかりの粉量で仕込を行っていました。

ミキシング途中、ボールから生地が溢れ出ているのをいちいち拾っては捨てています。

当然のことながら均一に混ざるわけもなく、捏上温度などは33℃に達していました。

言うまでもありませんが、本来ならばこの時点でこの人はアウトです。

誰に教わったとか、どこで何年修行したとか、そのようなことではなく、製造者としての目を持ち合わせてはいないからです。

一応確認だけはしてみました。

「なぜそんなに大量に捏ねるの???」

「一回でやらないと大変だし、2回はヤダ~」

「でも、捏上温度は33℃ではまずくない???」

「20分くらいで分割するからだいじょうぶです。」

その後何度説明しても、彼女は支離滅裂で、挙句には ”じゃあ辞めます” の名ゼリフ登場。

成形を担当している人は、ソーセージを乗せたパンを成形する際に、生地の上に解凍中に氷がびっしりと付いたソーセージをそのまま乗せていましたので、「氷は拭き取ったほうがいいね」 というと、途端に表情が変わり・・・・

「だったら最初から言ってくださいよ~」

「初めにそう教わったんですから、その時に言って下さい」

初めにって???・・・・・一体いつのこと???

「良いパンを作りたいって言ってたよね」

「氷だらけのソーセージをそのまま乗せたら生地はベタベタにならない??」

そう言うと、

「じゃあそれで遅くなったらどうするんですか~」


このような人達に教えることなんてあるでしょうか。

調理パンを担当している人は、出来上がったパンが一切袋に入っていない状態で放置し、そのままお昼を食べに休憩を取るようでしたので、

「これ袋に入れないと乾いちゃうから、とりあえず大きな袋でもかぶせておかない」

「それに出来れば、今11時でこれからサンドイッチが一番売れる時間だから、完成させてお店に陳列してからお昼にいくわけにはいかないだろうか」

そう言った所、こちらは完全無視でそのまま放置。

「良いパンを作りたいなら、まずはその姿勢を変えないといけないと説明したよね」

「今言ったことがそんなに難しいことだろうか」

そう言った所、

「どうして私だけそんな風にいわれなければいけないんですか~ もう辞めます・・・・・」

正直ここまでひどいのはあまり経験がありませんでした。

今までどれだけのことがあったのかは私には解りません。

しかし、会社側に不満があるとか、いままでどれだけひどい責任者のもとで仕事をやらされてきたのかとか、そんなことでこのような考え方が生まれるものでしょうか?

お店に並ぶパンが不揃いであるとか、あまり美味しそうではないということを常に他人事のように語る彼女たち。

しかしそれを毎日作っているのは自分たちである。

そんな当たり前のことが認識できていない。

確かに世の中には不条理なことが沢山ある。

個人であれ会社であれ、不平不満のまったくない職場などありえないし、仕事内容はきつい割には給料が安いのがこの業界であることも事実でしょう。

だからといってこの姿勢で良い訳はない。

このような輩は、ただちにパン業界から追放すべきだ。

そうでないと、いつもいつも早朝から必死で、報われないことも多いこの仕事を長年に渡って守り抜いてきた戦友に申し訳が立たない。

犯罪を犯すような輩が罰せられ、処罰されるのは誰の目にも明らかで明確であるが、全く理解不能な行動と言動で会社や業界に迷惑しか掛けないような輩というのも多いものです。

面接でこのような人を見抜くことは非常に難しく、笑顔で元気で礼儀正しいとくれば、ほぼ採用してしまうものです。

こういう人種が優勢となり、オーナーが言いたいことが言えないという職場もきっとたくさんあることでしょう。

しかし私はいつも後先を考えずにこう言い切ります。

今すぐ出て行け!


2 Comments

修行者 says...""
気になった事などがあるとよく拝見させていただいています。面白く内容も専門的でとても楽しく勉強になります。まず、ありがとうございます。
自分はこの道へ進んでまだ一年と少しの素人に毛が生えたような者なのですが、今の職場でそれは本当に正しいのかと思いコメントさせていだきます。
記事とは関係ないのですが、もしよかったらお知恵を貸していただきたいです。
菓子パンのミキシングについてです。
5キロ、冷凍イースト3から3.5パーセント、砂糖25パーセントの生地です。
ミキシング時間は25分前後で3速、4速も使っています。捏ね上げ温度は30度越えは当たり前で、今日は31度でした。
職場のリーダーが担当しています。
リーダー曰く、生地が落ちてきてボールの底にへばりついてきた時がミキシング終わりだそうです。
今日の生地を見た限り、オーナーはまだミキシングが足りないとのことでした。
これはどうなのでしょうか?
こねあがった生地は手では掴むことが出来ずスライムのようで、何回かに分けて箱に移しています。
また、アンパンの空洞が出来ないようにするために生地が落ちてくるまで捏ねているそうなのですが、空洞はそもそも餡子の問題だと自分は認識していたため、困惑しています。
拙い文章で誠に申し訳有りません。
立場が立場ゆえに口出しなど出来ず、もしこの作業が間違っていたら、間違ったことを覚えるために必須に修行していると思うとモチベーションも上がらず、最近仕事に身が入りません。
正しい菓子パンのミキシングといっても作り手によって違うと思うのでなんとも言えませんが、一般的に正しい、模範的といったミキシングを教えていただきたいです。
2017.02.06 16:59 | URL | #- [edit]
紫陽花 says..."こんなパン屋があるなんて…"
信じられないです…!

わたしも個人経営のパン屋さんで働いていましたが、(主に販売や雑務などですが…)、店長さんはいつもお客様のことを考えて、日々パンの勉強をしていました。
接客なども徹底していて、初めてのアルバイト先だったので、そこで学んだことが先の人生でもとても役にたっています。

パンを作ってお客様に食べていただいて、その上お金ももらえるなんてとても幸せな仕事なのに、今回の記事のようなパン屋さんがあることが残念でなりません。
2017.02.27 21:23 | URL | #- [edit]

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