ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

ドーナツの失敗例から、成形のコツを学ぶ・・・

いつでも質問の最上位にいるのが ”包む” ”伸ばす” 事への???ですね~


アンパン・カレーパン・クリームパン、そしてリングドーナツ・ツイストドーナツなどなど、ご家庭では必ずチャレンジしたくなるパンだと思います。

だからこそ、その点に質問が集中するのだろう・・・・と思っていたのですが、よ~く考えてみると少しばかり事情が違うようです。

と言うのは、ホームベーキング系の本には必ずと言っていいほどこれらのパンは登場していますよね。

だからこそ作りたいと思う人も多くなって当然だと思うのですが、結局はどうも写真の画像のように綺麗には出来ない、そして思ったより美味しいとも感じない、そんな ”なんでなの・・??” という気持ちになる人が多いのが現実のようなのです。

色々と質問をいただく度に、本屋さんへ行ってそれらの本を見てみるのですが、”なるほど~” と思うことが多々ありました。

それは、全般的に ”パン作りは簡単ですよ~” というイメージをうたっているという点と、肝心かなめの部分には触れていないという点にあります。

まあそれは仕方がありませんよね、”難しいですよ~” では売れませんし、あまりああだこうだと注意書きばかりでも作る意欲が失われてしまうでしょうから、入門書としてとにかく身近に感じて欲しい、そして軽い気持ちでチャレンジして欲しいという筆者の思いもよ~く解りますよね。

ただ、完成品の画像だけはプロが撮影するでしょうから、とても綺麗に見えすぎてしまうというのが難点だとも感じてしまいますが・・・・

いわゆる ”画像修正” 技術のなせる技ですから、あの画像のイメージ通りにはなかなかいかないのだということをよく説明したりしています。

基本、美味しければよいのではないですか~・・・・とお答えすることが多いのですが、どうやらそれでは気がすまない方々も多いようなのです ^^;

という事で、今回はドーナツ作りに関して頂いた質問に対するやり取りをいくつか紹介しながら、少しでも成形のコツが伝わればいいなと思っています。

まずは典型的な失敗例から・・・

生地だけを揚げるドーナツはとても綺麗に出来るのに、どうしてカレーを包むと爆発してしまうのでしょうか・・・・

〇〇さんはすでに生地作りに関してはプロ並みのはずですので、その原因は成形以降の工程にあると思われます。

一番疑わしいのは、カレーが柔らかすぎないかという点です。

水分が多いものを包もうとすると、どうしても発酵中に閉じ口から汁が漏れ出してしまい、閉じ口の接着面が開いてしまうからです。

カレーをよく煮込んで水分を飛ばすか、片栗粉などで多少とろみを増やしておくと良いでしょう。

また、じゃがいもや人参などが大きすぎると、そこからも水分が出ますし、野菜のカット面がとがっていると生地の内部が切れて、そこから破けて爆発してしまいますので、具は小さくカットすることをお勧めします・・・・

この例は、カレーに限らずカスタードクリームやジャムなども同じことで、具の水分が多いとどうしても破裂に繋がりますので、ある程度硬くして包むか、どうしても緩いまま使いたいということでしたら、コツとしては生地を麺棒などで大きめに伸ばして、すぐに包まずに5分ほどラップをかぶせて放置し、その後にそっと包むことで、生地のコシがぬけて、閉じ口が開こうとする力を抑えることが出来ます。

また、包む際にどうしても閉じ口を何度も何度も指で潰して閉じようとすると思うのですが、そうすると生地が閉じ口の方にばかり集中してしまい、反対側の生地が薄くなって、そこから生地が破れてしまうということも多々ありますので、具がちょうど真ん中に収まるように、つまり具の周りの生地の厚みを揃えるということがポイントとなります。

さらに、具をうまく包むことが出来たら、今度は揚げる際のコツなのですが、いつも揚げているタイミング・・・よりも、少し遅く、つまり最終発酵時間を長めにして揚げることで、生地が伸びようとする力を抑えることが出来、結果爆発を防ぐ事に繋がります。

次もドーナツに関してです・・・

ひどいものになるとリングのはずがほどけてしまってスティックになってしまいます。

焼いた方のパンはふっくらと上手にできているのに揚げる生地と焼く生地は別々に作らなければいけないのでしょうか・・・

結論から言えば、どちらも同じ生地で大丈夫です。

ただ、画像から判断するにどちらの生地も発酵オーバーになっています。

発酵オーバーであっても、焼いた方の丸いパンはそもそも綴じ目がありませんので、そこそこ良く膨らんでくれた・・・で良いのですが、もう一方のドーナツの方は、生地の発酵が進みすぎているとどうしてもつなぎ目が離れてしまうのです。

さらにそれがまっすぐに伸びてしまう程ですから、かなりのオーバーということになります。

生地が捏ね上がったときの温度を必ず計るようにして、それが26~28℃くらいならそのままでOK,30℃以上ならすぐに冷蔵庫へ15分くらい入れて冷やし、その後は室温へ戻して膨らんできたら早めに分割成形を行うようにしてください。

この例では、成形の仕方が悪いのではないか??という疑問に対して、実はそれ以前に生地の発酵状態が悪いのですよという、パン作りのもっとも難しい部分が垣間見れるのです。

家庭でのパン作りでは、発酵時間を疎かにするという事はまず考えられません。

計量もキチンと行われているでしょうし、時間も守るはずです。

しかし実際には、特に手捏ねの場合などは捏ね上がり具合が人によって大きく違ってくるために、生地が切れまくっている、あるいは完全に捏ねすぎてしまっている、又は逆にまったく捏ねられていないなど様々で、よく書籍などで目にする ”ぬるま湯で” というキーワードが仇になり、捏上温度が急上昇していることが多々見受けられます。

それでなくても比較的多めにイーストが配合されていますので、温度が高い場合にはグングン発酵が進み、結果接着面がはがれてしまうことになるのです。

それでも、ただ丸めるだけのパンでしたら立体的によく膨らみますので大丈夫なのですが、リングドーナツになると、その生地を伸ばすという作業を行うことで更に生地の元気が加速し、接着面どうしがお互いに膨らみあって相手をはねのけてしまうのです。

リングドーナツしかり、ツイストドーナツしかり、編みパンしかりで、みな成形してもほつれてしまい ”ありゃりゃ~~” となるのです。

ドーナツ作りに関しては、生地の温度がとても重要になるのですが、そこをもう少し解りやすく説明しますと、生地の温度が高い場合はその生地は ”少し硬いかな??” あるいは ”ちょっと乾いているかな??” という感じになります。

逆に捏ね上げ温度自体が低い場合や、冬などで作業中に冷えてしまったような場合にはその逆になりますので ”いつもよりちょっと緩いかな??” あるいは ”ちょっとベタベタ、テカテカしているかな??” という感じになります。

成形前の段階でこれは温度が高いのかな、発酵させ過ぎかなと感じたら、成形の前にビニール袋に入れて冷蔵庫で少しの間冷やします。

タッパーでも大丈夫ですが、これは相当温度が高いと感じたら、アルミトレーなどの方が速やかに冷えます。

よく冷えたらその生地を人差し指程度の長さに伸ばし、それをまた一旦冷蔵庫で冷やします。

5分ほど休ませたら、リング形に完成させて残りの発酵を行います。

要は、休ませながら、生地のコシを抜きながら成形を行うことで、元気になりすぎたイーストの活動を抑え、生地へのダメージを減らすことがポイントとなります。

どの段階で生地の温度が高いかもしれないと判断するかによって、対処法は違うわけですが、出来ることなら早めに処理をするほうがより良いパンになりますので、捏ね上げて発酵を行う前に是非温度は計ってほしいと思います。

例とは全く真逆で、捏ね上げ温度がいちじるしく低い場合などは、終始生地がベタベタとしてふっくら感がありません。

そのような場合は、何度か丸め直しを行いながら、暖かい場所において生地の温度回復をはかり、ふっくらとして生地に弾力が出てきたら作業を進めるようにしましょう。

元気のない生地だなと判断できた場合の成形でのコツは、包むものの場合は、ベンチタイムの後の生地を今一度軽く丸め直し、10分程度したら包むようにするとボリュームが出るようになります。

一度丸めなおしても、まだ元気が無いようでしたら、また今一度丸めなおしてみてください。

伸ばし物の場合も基本は同じですが、生地を伸ばした後リングにする、あるいはツイストにする前に、伸ばした生地を一度ねじって、そのねじれた状態で成形するとボリュームが出てきます。

元気すぎたら冷蔵庫で休ませ休ませ、元気がなければ今一度丸めて生地に活を入れる、その為にも生地の状況が今どうなのかを科学的には温度を計ること、そして技術的には弾力の強さと肌の状況を見極めることを意識することがポイントとなるでしょう。

さて次はパン屋さんからの質問です。

特にあんドーナツがうまくいきませんね。全体的に色が黒々としてしまうこと、ボリュームがないこと、揚げている最中にひっくり返ってしまい色付きがバラバラになることなどが問題点としてあがっています。生地は自家製の成形冷凍生地ですので、配合の見直しも検討すべきかもしれませんが、工程にも問題があるような気がしています・・・・

拝見した所配合に特に問題はありません。

むしろドーナツとしては理想的は配合だとも言えるでしょう。

ですので今回の場合は工程に問題があると思われます。

画像からも判断出来るのですが、大きな問題点が2点あると思います。

一つは、色が黒いのはもしかしたら揚げ油が古くはないでしょうか。またはかなり価格の安い油脂をお使いではないでしょうか。

油の酸化を計測する試験紙がありますので、もったいないかもしれませんが数日に一度はすべての油を廃棄して全交換することをお勧めします。

また、毎日の油こしは言うまでもありません。

これらのことを実行されているのにこの色付きであるとしたら、それはいわゆる発酵不足になります。

解凍をじっくりと行うこと (できれば冷蔵解凍が良い)

ホイロの温度は30℃を越えないことと、湿度は極端に少なくすることなどの対策が必要です。

よく、ラックタイムと言ってホイロの後に30分は常温で乾かしましょうなどと言われていますが、そもそも乾かさなくてはならないほどの湿度の場所で発酵をとること自体が駄目なのです。

前日から冷蔵庫で解凍された生地を、工房内でしたら通常は温かいはずですから、網またはシートの上に生地を載せてビニール袋ですっぽりと包み、そのまま常温発酵させるのがベストだと思います。

二つには、揚げている最中にひっくり返るのは残念ながら成形です。

餡が中央に入っておらず片寄っているとこのように斜めになったりひっくり返ってしまうのです。

この例では具材の入ったドーナツの揚げ方の難しさが垣間見えます。

詰め物の具材のなかでも、特に人気のある餡ですが、意外と硬い場合があります。

餡が固い場合、それをそのまま包みますとパン生地は丸く丸く膨らもうとするのですが、それをまるで岩肌のように内部からえぐってしまいます。

そうするとスムースに生地が膨らんでいくことが出来ずに、餡はいびつな形のままになり、餡の周りを取り巻く生地の厚みにバラつきが生じてしまいます。

上手く包んだつもりでも、さすがに生地の膨らみが餡の形を直してくれるという訳にはいかずに、生地の厚い部分が上へ上へいこうとしてひっくり返る現象がおきてしまうのです。

ですので、餡は一度ビニール袋などに入れてモミモミしてから包むことをお勧めします。

また、特に餡などの具入りのドーナツを揚げる場合、揚げる時点で生地の温度と具材の温度がほぼ同じになっていることがきれいなドーナツづくりのポイントとなります。

ですので、冷蔵庫でひんやりと冷えた具材を暖かい生地に包み、高温で発酵させた場合には具材の温度が生地に比べて低すぎてしまい、結果黒々とした色のドーナツになったりしてしまいます。

具材は成形まえには常温で戻す、あるいは成形後にじっくりと時間をかけて常温で発酵を取るようにすると、具材の温度も生地に近くなり、綺麗なドーナツが出来るでしょう。

ということで、とても成形のコツとまでは行きませんでしたが、参考にしていただければ幸いです。


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