ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

パンの鮮度・・・意識してますか??

先日テレビで、新しくオープンしたコストコの現地リポートを見ていました。


その際、パンの試食を食べていたご婦人の一言に ”ドキっ” としました。

「料理と違って、パンの味って大体どこでもおんなじね」

なぜドキっとしたかといいますと、私自身もいつもそう感じているからなのでした。

パンという食べ物は、今ではとにかくどこに行っても、そしていつ何時でも食べることが出来ます。

その時々で流行りがあったり、天然酵母専門店とか国産小麦専門店とか、グルテンフリーとか蒸しパンとかベーグルなどの専門店などなど、さまざまな専門店やこだわりのお店があるのは確かですが、正直どこのパンもそう大差はないなと感じていました。

なんて書くと、お前の舌がおかしいだけだ、もっとよく調べてから書け・・・なんて言われそうですが、そう言いたくなるくらい、どこのお店に行っても大体同じようなパンが並んでいるなという印象を持っていました。

私がパン屋さんのオーナーから相談された時には、必ず全ての商品ラインナップを見直しますが、大抵の場合どこにでもあるパンが並んでいます。

「オリジナルが少ないようですが、大丈夫ですか」とよく聞くのですが、オーナーとしては大丈夫と言うよりも、むしろそうでないと安心できないという気持もあるようなのです。

つまり、オリジナルと言えば聞こえは良いが、おなじみのパン、お客様がよく知るパンが無いということの方が不安だというご意見なのでした。

確かに、どこのお店に行っても大抵の場合は人気があるのはカレーパンであったり、食パンであったり、クリームパンであったり、メロンパンであったりと、よく知られているパンであることが多いことに気が付きます。

そのよく知られているパンをより美味しくすることがヒット商品を生み出す要因だとお考えのオーナーは多いかもしれませんね。

その考え方を否定するつもりはまったくないのですが、その方向性で売上が下がり、結果相談してくるという構図を考える時、はたしてこのままで良いのか、右にならえで大丈夫なのかと思ってしまうのです。

パンが好きだ・・・という人は恐らくこれからもどんどん増え続けていくと推測しています。

ただ、現実的な問題として、パンが好きな人の増加よりも、パン取扱店舗の増加の方がず~っとず~っと多いのです。

そうなのです、つまりは需要よりも供給のほうが上回ってしまっているのが現在なのだと思うのです。

そう考えた時、ごくごく一般的なアイテムを揃えて、ごくごくありがちな焼き立てパンの店舗として展開した場合、マーケットはかなり狭くなってしまうのではないでしょうか。

それでも立地条件がよく、大きな駐車場を完備できて、イートインコーナーなどが併設できるような大型投資ができるのであれば、せまいマーケットながらも多方面から集客できる要素はあると思いますが、小じんまりと初期投資を抑えてとなると、商品戦略としてはよりオリジナリティを出していけないと差別化が出来ない、つまり条件の良いお店には勝てないということになります。

ですので、企業系の出店でもない限りは、個人での起業の場合にはどうしても他のお店との差別化がキーワードになると思います。

ではいったい、どのようなパンを商品構成していけば良いことになるのでしょうか。

ただ単に、どこにも売っていないようなパンを並べれば、差別化が出来るのでしょうか?

そのようにして、例えばハード系専門店としてフランスパンやドイツパンばかりの構成で望まれた方もいらっしゃいましたが、成功率は極めて低いという印象を持ちました。

どんな地域で、どのように展開するかによっても勿論違うとは思うのですが、すべてをオリジナルにすることでお客様が押し寄せる・・・というほど単純なものでもなさそうですね。

どんな味なのか、どうやって食べたら良いのかが全くわからないようなパンばかり並んでいても、「何を買ってよいのかわからない」「プライスだけでは味が判断できない」「消費期限がわからない」ということになり、ヤ~メタという気持ちになる。

せっかくオリジナルを考案したのにと心が折れる瞬間ですね。

そして徐々によくあるアイテムを揃えていくと、ようやくお客様も安定してくる・・・そんな現実もあることでしょう。

それだけに、オリジナル商品を多くすることには希望は抱くものの、なかなか踏み込めないというオーナーが多いようです。

そこで私がいつも思っていることは、冒頭に触れたように ”どこに行っても大差ない味のパンが多い” という事にチャレンジできることはなにか??ということなのです。

そして行き着いた答えが、鮮度にこだわるということなのです。

いつも思っていました・・・・

焼いてから半日位までの食パンを食べたときの、あの表皮の香ばしさと内層のしっとり感のコントラスト。

焼いてから2時間位までのハード系テーブルロールの香ばしさと旨味。

揚げ立て1時間位までのドーナツの味わい。

作ってから1時間位までのサンドイッチや惣菜パンの具材の個性豊かな風味とパンのベストマッチ。

それ以外にも、ほぼすべてのパンに ”今が食べドキ” と叫びたくなるような美味しい瞬間があることを常に感じていました。

しかし、現実にはお客様がその状態で食べることが出来ているかどうかは難しいのが実情ではないでしょうか。

特に商品の試作品をスタッフで食べている時などに感じるのですが、”この状態をお客様に提供できればな~” という気持でした。

翌日に食べる食パンも、またまた翌日になっても、もちろん美味しくないわけではありません。

大手の惣菜パンなどは、温め直して食べるとより美味しくなりますと説明書きされていますし、日にちが経過したパンが美味しくないなどということもありません。

ただ私が感じるのは、”鮮度が最高の状態で食べたパンには感動さえ憶える” という事実なのです。

であるならば、なんとかしてその感動をお客様に伝えることさえ出来れば、大いなる差別化になるのではないかということなのです。

具体的にはとにかく焼きたて、揚げたて、作り立てを増やすことになります。

という事は、作業効率が極めて悪くなることはパン屋さんならお解りのはずですよね。

出来ることなら同じパンは一度に作ってしまったほうがメチャメチャ効率が良い・・・・

そうでなくても安売りのパン屋に対抗するために価格を限界まで下げており、製造に掛けられる費用はどんどん削られている・・・・

そんな状況で、同じパンをちょこちょこと小分けにして作るなどということは、理解は出来ても現実性がない・・・・

誰でもがそんな思考に陥っていることでしょう。

しかし、それは考え方の順番がおかしい。

製造にかける費用がパンの低価格化によって捻出できないという考え方は、パンの価格は安くなければならないということを前提として決めつけています。

最高鮮度のパンがもし常に提供できるようなお店ならば、お客様はそのパンの価格を他のお店と比べるでしょうか。

「こんなパンはここでしか売っていない」 そう感じてもらうことができたらなば、お客様の多くは100円均一のパンに戻っていくでしょうか。

価格競争というのも、企業を中心としたベーカリーのお客様満足を果たす大切な戦略です。

そのお陰で焼きたてパン屋が賑わっていることも大事実であります。

だからこそそれを踏まえた上で、自分の判断と決断で、パンの価格を決めることが出来て、しかも商品構成から提供の仕方まですべてを決めることが出来る個人店ならではの戦略として、最高鮮度で感動を与えようと考えても良いのではないでしょうか。

出来ない理由を探すのが得意であった自分自身の経験から言わせて下さい。

”あなたのパンでも人を感動させることは必ず出来ます”




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