ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

生地の発酵環境について

仕込み上がったパン生地を、いよいよ発酵させる訳ですが、どのような入れ物を使って、どのような場所で発酵させていますか?

パン生地が発酵していくということは、内部摩擦が起きているということになります。

その内部摩擦によって、時間の経過と共に、生地の温度が上昇していきます。

一般的な生地、例えば食パンを例にとって説明すると、発酵時間が一時間程度なら、発酵時間中の生地の摩擦上昇温度は、0.5℃から1℃が適切です。

もし逆に、28℃で捏ね上がった生地が、一時間の発酵時間の間に、温度が下がってしまうような事があった場合は、それは醗酵室の温度が低いと言う事ですし、この場合、良いパンにはなりません。

発酵させると言う事は、パン生地に活発な摩擦を起こさせると言う事で、温度が下がってしまうような環境下では、適切な発酵が行われていない事になるのです。

つまりは、風味に欠けたり、ボリューム感に欠けたり、焼き色がまだらになったりしてしまう場合の多くが、生地が冷えてしまった場合に起こる現象と言えるのです。

パン生地は発酵中に、適度なストレスが必要です。

それは、ある程度の発酵スペースが必要ということで、詳しく説明しますと、仮に入れ物に入れないで発酵を取った場合、生地には何のストレスもありませんので、ただだら~っと横に広がっていきます

そのような生地は、ボリュームが無く、摩擦上昇温度が期待できないので、あまり良いパンになりません。

逆に、生地に対して非常に小さい入れ物に入れた場合、ストレスが掛かり過ぎて、生地切れを起こし
摩擦上昇温度も過度となり、発酵過多のパンになります。

つまりは、生地の容量の三倍程度の入れ物がベストとなり、その容器に入れた生地を、濡れ過ぎず、乾かない程度の湿度で、生地の捏ね上がり温度と同じ温度の場所に保管することが、パンを発酵させる重要なポイントとなります。

また、発酵用の入れ物の材質ですが、これはビニールかプラスチックに尽きます。

なぜなら、ビニールは温度に鈍感なので、外気温によって生地の温度が変化するのを防ぎますし、
表面がつるつるしているので、発酵中の生地を傷つけません。

多くのベーカリーでは、プラスチックの番重を使用していると思いますが、大正解だと思います。

少量の生地の場合などは、タッパーが便利だと思いますし、プラスチックの衣装ケースなどもお奨めです。 (ふたが付いていると便利ですよね)

醗酵室が使えない、又は無いというパン屋さんもあると思います。

そんな時は、大きめの衣装ケースに、お湯の入ったマグカップを置き、そこにタッパーに入れたパン生地を入れてふたをすれば、立派な醗酵室になります。

ただし、生地が濡れないように、お湯の温度と量を調整する事を、お忘れなく。

パン生地を発酵させる最適な温度は、パンの捏ね上げ温度と同じに設定する事です。

しかし、予定よりも下がってしまったり逆に上がってしまったりと、なかなか希望通りにはいかないものですよね!

もし予定より下がってしまった場合は、当然醗酵室の温度を少し高めに設定して、生地の温度を上げる努力が必要です。

また、その逆もしかりです。

このようにして、仕込み上がったパン生地を、どのように規定の発酵時間過ごさせるかによって、パンの良し悪しが決定していくのです。

ここを無関心にして、温度や入れ物に関係なく、漠然と作業をおこなっていると、毎日品質の不安定なパンを作る事となりますよ。

あなたのお店は、大丈夫ですか・・・・・・・?(笑)









3 Comments

日々悶々 says..."発酵につきまとう表現について"
もし解説いただけたらと思いコメントしました。正直なところこのあたりを的確に答えてくれる人は周りには皆無です…(・_・;)長くなりますが自分なりに勉強した見解も含めて質問させていただきます。
発酵に関しては若い(未熟)過ぎた(過発酵)と表現が使われますし大体は若い=容積が小さい・ベチャっとしている、過発酵=ブクブクでもろいみたいな安易な説明解釈?が多いですが、腑に落ちないのが仕事場でチーフの仕込む食パン生地等は分割時にはブクブクで所謂過発酵な感じでありながら焼き上がりの製品は赤黒かったり底の角張ったものやせんべい肌という所謂若い傾向がでています。これって「吹いている」ことが過発酵ではなく本来正しい生地ならこの程度のガスは保持できたけれどグルテン構造がしっかりできてないから?ガスが溢れてブクブクになってしまうとかそういうことなのでしょうか?つまりは生地は過ぎているのではなく若いのだと…職場では分割の時に「過ぎてるなぁ」とか安易に言われていますがずっと違和感がありもやもやしています(・_・;)
ただこの考えがあっていたとして生地が若い場合しっかり力をつけてやるような丸め成形が必要というもののブクブクしょぼしょぼの生地を強くは扱えないような…この辺りは技量のみの問題なのでしょうか?いきなりの長文失礼しました。
2013.10.08 21:13 | URL | #- [edit]
しずかな朝 says..."悶々さん、コメントありがとうございます。"
まず、この質問に対して的確に答えるには、レシピや設備がどのようなものなのかを知る必要があります。

さらに、発酵環境や生地の入れ物、作業台、作業場の環境、作業工程、職人さんの技量などなど、それらがすべて整えば、ここがこの様におかしいとはっきりと判断がつきます。

パンと言うものは、使用している小麦粉に対してレシピが適しているか?ミキシング状態は適正かどうかによっても大きくその後の作業は変わってきますし、発酵条件や技量によっても変わってきます。

要するに、ケースバイケースですべてをこなす事が出来る知識と技量が無い場合、初めが良くても終わりが駄目だったり、またその逆もしかりなのです。

一つの現象だけを見て何が悪いか、どこが悪いかなのではなく、初めから終わりまですべてを頭で把握できていないと、おっしゃるような現象が現れ、結論としておかしな製品が完成する事になるのです。

完成品を見ただけで、何が悪いのかが解らないでいる今の職場環境では、様々な問題解決は難しいと言わざるを得ません。

そうは言え、だいたいがその様なものだとお考えいただき、気が付いた人が色々と試行錯誤する以外には、どうしようもないのです。

結局一つの例を示したとしても、次の日にはまた別の問題点が出てくるはずだからです。

一つの商品で結構です。

徹底的に最初から最後まで完璧に理論づける事が出来るまで悩んで見てください。

一つ開けると、次から次へと解ってくる事があります。

とても素晴らしい質問で、その事に気がつき悩んでいる時点で未来は約束されています。

後は行動です。

あなたがチーフになって治すしか手は無いという事を、厳しいようですが付け加えておきます。

技術や技能が優れている人だけが上に立っている訳ではありません。

ではお前がやるか!・・・そう言われて任せてくださいと言えるようになるまでは、がむしゃらに頑張る事です。

この質問に対しては、いつかブログで詳しく書いていきたいと思います。

有り難うございました。

そしてガンバレ!!!
2013.10.09 14:51 | URL | #- [edit]
日々悶々 says..."ありがとうございます"
とにかく考え方は間違ってなかったんだなとそこだけは自信を持ってやりたいと思います。まだまだ技術は未熟そのものなのでまずは力をつけていきます!ありがとうございました
2013.10.09 20:24 | URL | #- [edit]

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