ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

パンにおける牛乳の役割

仕込み水の代わりに牛乳を使って、ミルクブレッドとして販売しているパン屋さんも多いと思います。

ここでは、仕込みに牛乳を使用する場合の注意点と、どんなパンを作る際に牛乳を使用するのが良いかお話していきたいと思います。

まず使用する牛乳の種類ですが、牛乳には大きく分けて四種類ほどの牛乳があります。

一つは通常の牛乳で、これは要冷蔵で十日程度の賞味期限ですので、保管に注意しながら使用しなければなりません。 ちなみに、賞味期限が切れても数日は何の変化もありませんが・・・・・

ただし、開封した注ぎ口には雑菌が付きやすいので、そのあたりの気配りはお忘れなく!

二つ目にロングライフ牛乳。 これは、読んで字のごとく長くもつ牛乳で、二ヶ月程度は持つでしょう。

しかも常温保管で良いので、冷蔵庫が小さいパン屋さんはこちらが便利ですよね!

味のほうは通常の牛乳となんら変わりません。

日持ちするのは、変な薬品が入っているからではなく、無菌包装による包装技術ですので、心配なく使用出来ます。

ただし、一度開封したら普通の牛乳と同じですから、早めに使用しなければなりません。

三つ目にローファットミルク。 これは低脂肪乳と言う物で、読んで字のごとく脂肪分を抑え目にしてあるというものです。

いつの時代も脂肪は敵対視されるものですが、本来でも牛乳の中には3.5%程度の乳脂肪しか入っていないのに、更に減らせとはご苦労な事です。

しかも、牛乳の美味しさはズバリ乳脂肪の美味しさですから、美味しさを半減させた低脂肪乳をお金を出して飲むくらいなら、初めから水でも飲んでろと言いたくなりますね(笑)

ということで、もしも低脂肪乳を使った脂肪分抑え目のミルクブレッドなどと言って使っている方がいるとするなら、美味しさも半減することをどうぞお忘れなく・・・・

四つ目に低温殺菌牛乳。 この牛乳は飲み口が良い、香りが少ないのが特徴で、飲み物としての牛乳で見れば大変おいしいものであると言えるでしょう。

しかし、パンに使用する場合、牛乳の香りは実に大切な要素ですので、あえて香りの少ない物を使用するのは、理にかなっていないと思います。

低温殺菌牛乳ということは、低温で殺菌しているのだなということは皆さんもご存知の事と思いますが、それではその他の牛乳はどのような殺菌をしているのでしょうか?

実は低温殺菌牛乳以外は、ほとんど超高温殺菌と呼ばれる殺菌方法を行っているのです。

超高温殺菌とは、約140度の高温で2~3秒ほど殺菌する方法です。

ちなみに、低温殺菌は約60度で30分かけて殺菌します。

この殺菌と言う工程は絶対に必要で、牛から搾ったばかりの生乳には、実にたくさんの細菌が混ざっている事から、生乳をそのまま販売する事は出来ないのです。

そして、殆んどの方が認識している牛乳の香り、そうあの乳臭い臭いは、実は生乳の香りではなくて、殺菌の際に牛乳の表面がこげて出来た ”こげ臭” なのです。

皆さんは、それが牛乳の香りの主成分だと思い込んでいるのです。

低温殺菌牛乳は、ほとんど香りがしませんが、それは低温での殺菌なので表面が焦げないために、香りが少ないのです。

ということで、パンに配合する場合は、低温殺菌とローファット以外の牛乳を使用することをお奨めします。

次に仕込みの際の注意点ですが、牛乳には固形分が含まれています。

ですから、水に置き換えて使用する場合、すべてが水分ではない為、パン生地が硬くなってしまわないように使用量を調整する事が必要です。

吸水の65%をすべて牛乳にする場合、70%以上入れる必要があります。

また、焼成の際は色付きが良くなりますので、焼成温度と時間を調整する必要があります。

よく配合中に牛乳10%などと書かれた物がありますが、10%や20%牛乳を使用しても、正直完成品に牛乳を感じる事は出来ません。

牛乳で仕込んだパンであることをアピールしたければ、水分のすべてを牛乳に置き換える必要があると思います。

では、少量の牛乳の配合は意味が無いかと言いますと、意味が無いわけではありません。

それは、牛乳には他の香りを抑える働きがありますので、例えばイースト臭を消したい、改良剤の嫌な香りを消したいと言う場合には、消臭という意味で効果を発揮すると思われます。

牛乳で仕込んだパンは、特に食パンなどはパンのクラストつまり表面が非常に香ばしくなります。

ハード系やハース系に使用すると、更に香りが際立ちますのでお奨めです。

ただし、無糖のフランスパンにはあまり向いていません。

それは、牛乳は砂糖との相性が非常によく、砂糖の香りとミルクの香りが混ざり合って出来るフレーバーがとてもパンを引き立ててくれるからです。

どのパンにどの位の牛乳を使うかは、別に決まりはありませんが、個人的にはあまりソフト感をイメージしたパンには使用するべきではないと思います。

牛乳を使用すると、どちらかというとパンは老化が早くなりますし、ソフト感には貢献しないからです。

ですから、あくまで香りを強調したい場合、コクを出したい場合などに最適かと思います。



このように、完成品のイメージを念頭に置きながら、牛乳の香りと味わいを生かした配合で作る事が大切でしょう。













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