ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

パンにおける生クリームの役割

ケーキ作りには絶対欠かす事のできない生クリーム。

乳製品の中でも生クリームは、実はとてもパンに適した原材料なのです。

まずその効果としては、パンの耳の部分つまりクラストがとても柔らかくなります。

配合量によりますが、沢山配合すればそれだけクラストが柔らかくなります。

また、日持ちにも貢献しますし、当然味も良くなります。

前回お話した牛乳が、乳製品の中では一番パン屋さんで使われていると思いますが、生クリームの効果を上記のように考えれば、ハード系やハース系には牛乳を使用し、ソフトな食パンやブレッドを作りたければ、生クリームを使用するのがお奨めです。

生クリームにも、牛乳と同じようにいくつかの種類があります。

簡単に言うとその違いとは、乳脂肪の量に関係してきます。

牛乳の場合で、一リットル中乳脂肪の割合は3.5%程度でしたが、生クリームはと言うと、通常洋菓子で使用するものでは、一リットル中45%程度と、牛乳の約十倍もの乳脂肪が含まれています。

乳脂肪は、パンに乳製品を使用する上では、極めて重要な役割を果たすのです。

牛乳の場合は、パンにコクのある香りをつける目的で使用しますが、生クリームの場合は、香りは余り強調されず、むしろパンをしっとりソフトにする目的で使用します。

使用する配合割合は、5%入れるだけでも効果が出てきます。

これを20%程度配合すると、耳までソフトなブレッドとなります。

しかし、30% 40%とあまり使いすぎると、今度は内層つまりクラムのネトネトしたパンになります。

使用する上限は30%までとした方が、最大限に効果を発揮できると思われます。

また、使用する生クリームの種類ですが、当然乳脂肪が多い方が味は良くなりますが、価格が牛乳の5倍以上になる為に、完成品も高く販売する事になります。

生クリームの種類の中には、練り込み用として乳脂肪の替わりに植物性脂肪が使われている物がたくさん出回っています。

全てが植物性脂肪の物や、20%が乳脂肪で20%が植物性脂肪で合計脂肪が40%と言う物もあります。

さらには5対35%やら15対25%など、さまざまな物が出回っています。

一般的に乳業メーカー (森永・明治・雪印など) が出している生クリームは、主に洋菓子店向きなので、味を尊重した乳脂肪の多い物が多いのに対して、油脂メーカー (アデカ・ミヨシ・リーバなど)が出している生クリームは、製パンを意識している事が多い為に、コストを抑えながらも生クリームの効果を出せる物として、植物性脂肪を多く配合したものを製品化しています。

では、使用するのはどちらが良いのでしょう?

その判断基準となるのは、やはり味です。

植物性脂肪の多い生クリームは、砂糖を加えて食べた時に、実にまずいクリームが出来ます。

これでは、正直言って美味しいパンにはなりません。

乳脂肪の多い生クリームは高価であるという理由で、植物性脂肪の多い物を使用するのだとしたら、それは使用するだけの意味が無いと思われます。

植物性脂肪の多い物でも、やはり牛乳の三倍以上の値段はしますので、それでいて完成品がまずくなるのであれば、使う意味がなくなります。

たとえ少量であっても、乳脂肪の多い物を使う方がトータル的に味が良くなりますので、生クリームを配合してソフトで美味しいパンを作ろうと考えた場合は、最低でも乳脂肪が20%以上含まれている生クリームを15%以上は配合してください。

更に、乳脂肪よりも植物性脂肪の多い油脂メーカーが出している生クリームは、どうしても香料や乳化剤などの余計な物が配合されています。

せっかく天然の乳フレーバーが欲しくて生クリームを配合するのに、香料などの香りが入ってしまっては台無しです。

ですから、一番お奨めなのは乳脂肪40%以上の食べても美味しい生クリームを5%から20%程度まで配合することです。

そして最低の目安は、乳脂肪が20%以下の物は使用しないことです。

以上さまざまお話しましたが、これはあくまで味を良くしたいと言う観点から申し上げています。

誰も味を良くしたくないとは考えていないと思いますが、補足しますと、ただ単にパンのクラストを柔らかくしたいだけなら、植物性脂肪たっぷりの安物でも良いのです。

その点をご理解くださいね!

表現を少し変えるなら、乳脂肪が多い生クリームは、つまりは液体バターです。

そして、植物性脂肪が多い生クリームは、つまりは液体ショートニングなのです。

ですから、油脂としてのパンに対する効果は、同量配合すればどちらも大差はないのです。

しかし、バターとショートニングでは、これは味では大いに違いが出るのは明白ですよね。

このあたりを理解していただき、生クリームをどうぞご活用ください。










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