ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

移動販売に未来はあるか?

移動販売の歴史は、結構古いですね~。

お店に買いに来られないご老人や、お店まで遠い場合など、わざわざ売りに来てくれるのですから、これは助かりますよね~。

それこそ今時は、移動自動車の中にオーブンやら流し台やらを設置した本格的な焼き立て移動販売車が目を引きますが、基本は車の荷台に番重を乗せて売り歩くと言う物でした。

それが、車にパン棚を設置するようになり、本格的な移動販売車になったのも、もうすでに30年以上前の話ですね~。

移動販売の原点は、恐らく野菜売りや豆腐売りだと思いますが、歩きにリヤカー、それが自転車になりバイクになり、現在は移動式の工房付き店舗とまで言えるようになってきました。

この歴史の長い移動販売という販売形態は、はたして儲かるのでしょうか?

そして、これからも求められていく販売形態なのでしょうか?

そこで、今回は移動販売の長所短所を分析していきたいと思います。


ではまず移動販売の良い点をまとめてみましょう。

1.店舗の建設費がかからない、または好立地での高額テナント料の必要が無い。

2.工房の場所を選ばないので、安価な土地で製造が出来る。

3.販売先が青天井である。(無限大だと言う意味です)

4.直接出向くので、天気・気温に左右されない。

5.販売コースが決まれば、製造計画が立てやすい。

6.売りに来られたら、買わないわけにはいかないという日本人特有の文化にマッチしている。

7.特にどこのパンが好きと言うほどではない一般客層にも、購買動機を与えられる。

8.核家族化した現代の食生活に、袋入りのパンはとても便利な常備品となる。

9.店舗に買いに行くのが不可能な時間帯でも、売りに来てくれるのはとにかく助かる。


とまあ、まだまだあると思いますがこれくらいで(~_~;)

結構いいことずくめといった感じですね。

特に初期投資が安く済むと言うのは魅力ですよね。

その分工房設備を充実させておいて、成功したら今度は店舗を構える・・・・

な~んて事も考えたくなります。

それに何と言っても、わざわざ売りに来られたら、買わない訳にはいかないでしょう・・・・

それが人情と言う物ではありませんか(*^_^*)

まあ、それがすべてではないと思いますが、ついつい買ってしまうというのも事実だと思います。

あとは、お客様が欲しい時間帯にタイムリーに行けるかどうかがポイントですね。

さあ、いいことばかり書いていると誤解を生じますので、次は移動販売の悪い点をまとめてみましょう。


1.訪問するごとに品薄になり、一番に来てくれと頼まれる。

2.釣銭・売り上げ管理・販売ロス管理が大変。

3.少量しか買わない所へも、行かない訳にはいかない。(不効率)

4.コースを作るのが大変。 (すべてのお客様の要望通りにはいかない)

5.袋入りのパンでは、高級感が出しづらい。(客単価が店舗より低めになる傾向がある)

6.車のメンテナンスに以外とお金がかかる。

7.運転手が急に休むと、コースが解らず出発できない。(ロス発生)

8.事故などのトラブルの心配が付いて回る。(人身事故保険のトラブルも多い)

9.店舗販売とは違って、弱気なイメージがある。(頭を下げて買ってもらうイメージが強い)


と言うように、悪い点もある訳ですね。

しかし、相も変わらず根強い人気があるのも確かです。

世の中どんどん忙しい人が増えています。

一日の中で、知りたい情報・やらなければならない事を、限られた行動範囲と時間の中で済まさなければなりません。

専業主婦の数は激減し、子どもと老人以外は皆働いているという世の中。

収入はあるけど時間が無い・・・・そんな現代の人々には、向こうからやって来てくれる販売形態は、実にありがたいでしょう。

そこには、品質重視とかこだわりなどと言う物を超越した ”便利 ”さが存在するのです。

向こうからやってくると言っても、宅配便とは違って顔馴染の販売員さんが来るのですから、そこには人間関係も生まれるでしょうし、なにより安心でしょう。

これからも、すたれる事の無い販売形態であり、むしろ増えていくかもしれません。

しかしこんな現実問題にもブチ当たったりするのです。

工房から出発する数台の車。

店舗責任者あるいはオーナーがかかわれるのはここまでです。

ここから先は、運転手兼販売員の方の思いのままです。

自分の知り合いを重点的に回ったり、知り合いにのみ値引きをする。

残ったパンをあげてしまう。

過剰な試食を配る。

お客様との人間関係が強くなるのは、工房ではなく販売員です。

様々なリクエストを持ち帰り、私が売ってやっているから売れるんだ・・・という観念に支配されたりする人も出てきます。

あげくにはお客様情報ごと他社へ移動する人もいます。

店舗では、お客様の顔が見えますね。

お客様も、作り手や店長の顔を確認できますので、信頼と安心がそこに生まれます。

しかし、移動販売は作り手の思いがお客様に伝わりにくく、お客さまの顔も見る事が出来ません。

パンの数量や売上金額をしっかり把握し、運転手兼販売員を信頼しながらも勝手にはさせないシステムを作っておかないと、なにもかも持っていかれると言う事が起こりうるのです。

それらのシステム作りにもどうしてもお金がかかってしまいますので、中小では運転手任せと言うのが実情でしょう。

少し暗い話になってしまいましたが、移動販売にはどうしてもこのようなマイナス面がある事だけは認識しておかなければなりません。

リテイルベーカリーの場合は、店長が営業活動をしてコースを決めたり、たまには自分でも販売してくるなどの工夫が必要です。

任せっぱなしにする事だけは厳禁です。

さあ、いかがですか?

やはりどのような事にも一長一短はあるものだと、あらためて認識して頂ければ幸いです。

なお、実際の収益率などはあくまで規模によりますのでここでは触れません。

どのような車にするのか、一日の販売目標はいくらか、どれ位の販売先を獲得できるか。

それが解れば、おのずと計算も可能になりますよね。

軽トラックの荷台で売り歩くのなら、経費は人件費が中心でしょうが、現代の様な動く店舗形式の車だとなると、相当な売り上げ目標が必要となるでしょう。

そもそも立地が良ければ競合も多い訳ですから、経費を抑えて過疎地を中心に地道に行うと言うのが、移動販売の基本だと思います。

店にお客が来ないから売りに行く・・・は最低です。

商品力が無ければ、持って行っても無駄です。

あくまで商品ありき。

この商品を、多くのお客様に知ってほしい。 食べてもらいたい。

店にお金をかける位なら、すべてを商品にかけて、安価で高品質なパンをお届けしたい。

そんな発想からなら、きっとお客様にも届くはずです。

作り手の思いが・・・・・・







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