ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

家庭で食パンはうまく焼けるのか?

ベーカリーの業務用オーブンと家庭のオーブンとでは、当然焼き方や温度設定などに違いはあるのですが、結果としてどのように焼けるべきか・・・・は同じだと思います。

ベーカリーの大型オーブンの場合は、言い方は乱暴ですが適温に設定しておきさえすれば、そこそこの食パンが焼き上がります。

ベーカリーにおいての焼成技術とは、食パンをどのように綺麗に焼き上げるかと言う事よりも、食パンだけではなく数十種類のパンを、手際良くそれぞれの適温で焼き上げると言うトータル的な技術が要求されます。

しかし、家庭においては一度にそんなに数多くのパンを焼く事は無いでしょう。

ですから、例えば食パン一本に全力で向かう事が出来るので、どのように焼くのがベストなのか、そのコツをしっかりとつかんでおられる方も多いでしょう。

私は家庭用のオーブンについては、その種類や特性は存じ上げませんが、結局行き着くところは同じでなければなりませんよね。

例えば蓋つきのいわゆる角食パンであれば、

クラストが適度な厚さと美味しそうな色である事。

スライスした時に内層がキメ細かく、揃っている事。

スライスした内層の中心部を指で押しても、しっかりと戻る弾力がある事。

水分が適度に蒸発していて、火通りが良い事。

出来ることなら、上部にホワイトラインがあり、上部が艶々している事。

これはパン屋さんであっても家庭であっても、理想的な完成イメージだと思います。

よくいただく質問の中で、家庭でパンを焼いておられる方々からのオーブンに関する質問が多いのに驚いています。

しかも皆さん食パンを上手に焼くにはどうすればよいかとの事・・・・・

私はほんの数種類程度しか家庭用オーブンは使った事がないのですが、私の知る限りではとても食パンを焼けるようなオーブンには出会えませんでした。

皆様が使用している食パンの型は、一斤用や1.5斤用が多いようですが、これだけの大きさのパンに均一に火を通すには、相当安定した熱量が必要だと思うのです。

例えばベーカリーで使用しているオーブンを、200℃に温度設定したとします。

スイッチを切って一時間後に温度を計っても、190℃位はあります。

一時間たっても10℃~20℃しか温度は下がらないのです。

つまりそれだけ蓄熱に優れていると言う事になります。

他方家庭用のオーブンであれば、一時間も放っておいたら室温位まで下がってしまうのではないでしょうか?

また逆に、ベーカリーのオーブンは電源を入れてから200℃に至るまでには約1時間はかかります。

しかし家庭のオーブンなら10分程度しかかからないでしょう。

これはつまり家庭用のオーブンは ”熱しやすく冷めやすい” と言う事であり、ずっと同じ熱量を与え続けなければならない食パンの焼成にとっては、ある意味致命的な欠点であると言えるのです。

ですから、どうしても駄目だと言う訳ではないのですが、出来る限り家庭では小物のパンを焼くか、あるいは小さめの型でミニ食パンを焼く事をお勧めしています。

この熱しやすく冷めやすいオーブンにも、得意分野があります。

それがバターロールなどの小型のパンであり、メロンパンやクロワッサンなどの皮がパリパリとしたパンなのです。

これらの小型パンは、じっくりと焼くと言うよりも短時間で高温で焼く事で最適な状態に焼き上げる事が出来るのです。

まさに家庭向きなのです。

全く逆なのが大手製パン工場の超大型のオーブンですね。

こちらは型物が得意ですから、食パンは大手にはかなわないのです。

私が現在使用しているオーブンは、1,5斤の食パンが一度に28本焼けます。

焼成時間は35分前後ですから、無理をすれば約一時間で60本弱の食パンが焼ける事になります。

家庭から考えれば、とてつもない容量の違いですよね。

これが大手工場のおーぶんになると、なんとこの20倍は楽勝です。

それほど違うのです・・・・勿論値段も (ー_ー)!!

それでもあきらめたくないと言う人・・・・そんな人ばかり(~_~;)

そう言う人は、自分で掴むしかないのです・・・・・

では、あきらめの悪い人にとにかく注意していただきたい事をアドバイスしておきましょう。


山型のパンを焼くよりは、蓋つきの角食パンの方が上手に焼けます。

山型のように、半分は型の中、半分はオーブンにさらされているよな状態が一番失敗しやすいのです。

型の中に2個の生地を入れている場合は3個に、3個の生地を入れている場合には4個にと一つ増やしてみて下さい。

総重量は同じにして下さいね。

そうすることで、互いが競い合って伸びようとする為に、いつもよりも窯伸びしやすくなります。

出来る事なら少し力の強い小麦粉を使いましょう。

半々でブレンドしても構いません。

日清ならスーパーキング、日粉ならゴールデンヨット。

発酵種を入れた方が窯伸びは良くなりますよ。

多少ムラガ出来ても、焼成途中でオーブンを開けてはいけません。

例えわずかな時間でもです。

ダンパーのようなものがあっても、使ってはいけません。

中の温度を外へ逃がすなど言語道断です。

特に半分から後半にかけては、このオーブンの中の熱が全てのカギをにぎりるのです。

何度からスタートして、途中何回火を入れ、何回火を消すべきか。

余熱の使い方も大いなるコツだと思います。

同じ200℃と言っても、火力が入っている時の200℃と言うのは、熱の気流が渦巻いています。

しかし、火力がOFFになっている時には、無風状態です。

パン生地は、火力が入っている時に伸び、火力がOFFの時にじっくり中に火が通り、周りに色を付けていくのです。

単にスイッチONとOFFという考え方ではなく、今は伸びる時なんだな、今は中に火を通している所なんだなと感じながら、調整してみて下さい。

出来る事ならあまり温度変化の無いようにするのがコツだと思います。

オーブンから出してすぐに蓋を少しだけずらし、やや引っ張られる感じがベストです。

蓋が開かない位引っ張られるのは、まだ焼きが甘いのです。

逆に蓋がするっと外れるのは焼き過ぎか、少し落ちてしまった状態だと言えます。

家庭ではこの状態が一番多いと思いますが・・・・・

そして蓋を外したら、両手で型の側面を持ち、作業台に型の底を叩きつけます。

と言うよりも、20センチ上から落とすと言う感じでしょうか。

バタン・・・・としてから約5秒そのままにして下さい。

こうする事で、キメが更に細かくなり、組織がしっかりしますので、へこんだりしにくいパンになります。

設備の特性だけは、素人にはどうする事も出来ません。

その特性に合ったものを作る方が、よほど理にかなっていると思うのですが・・・・・

駄目でしょうね~ 解らずやが多いから(~_~;)









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